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【コミュニティ発信ニュース】初桜、健やかに大きく育て! マノア公園で日本の桜の植樹式

 2月21日、ホノルル市立マノア公園で、日本からの桜の植樹式が行われ、カーク・コールドウェルホノルル市長、アン・コバヤシホノルル市議、伊藤康一在ホノルル日本国総領事らを来賓に、50人ほどが列席した。関係者は桜柄のはっぴを着て、3本の幼木を植えた。

 桜の植樹計画を進めてきたのは、(一社)伝統文化協会の野﨑正史理事長、桜プロジェクト・イン・トロントの共同代表であるジェームス松本氏とチャコ瀬戸山氏。3氏はロータリークラブの会員でもあり、今年の『ロータリー国際大会』(6/6〜6/10)がホノルルで開催されることも記念したいと話した。国際大会には世界各国から2万人ものロータリアンがホノルルに集結するそうで、ホノルルのコールドウェル市長は、ワイキキにセンテニアル・ロータリー・パークを造園することを表明した。

 式典でコールドウェル市長は、以下のようにスピーチした。 「うちには犬がいまして、このマノア公園には犬と一緒によく散歩に来ますから、我が家の庭のように親しみがあります(笑)。公園にはさまざまな樹木があって、このベイビーサクラが大きくなるのを犬と一緒に見続けていきたいです。アメリカといえば、ワシントンD.C.の桜並木が有名で、100年以上前に日本から贈られたアメリカと日本の友好のシンボルでもあります。またオアフ島では、温暖化対策として2025年までに10万本の植樹をする計画です。この島が桜やシャワーツリーなど美しい樹々で彩られるのを楽しみにしています」

 アン・コバヤシ市議は、 「日系人として、嬉しく名誉なことです。ハワイに桜を植えようというプランは、ワシントンD.C.に最初に植えられた1912年から100年後の2011年に、“桜寄贈100周年 全米桜プロジェクト”が発足、日系人の多いハワイでも故郷の花をぜひ育てようと活動が始まりました。ハワイ島やオアフ島のワヒアワなどで毎年、美しい花を咲かせています。今日植えた桜も元気に育ってくれるよう、市の担当者とともにサポートしたいと考えています」

 伊藤総領事は、先日ハワイ島のワイメアで開かれた“チェリーブロッサムフェスティバル”に行ってきたという。 「パーカー牧場のそばなので、カウボーイ姿の男性とユカタを着た女性が一緒にボンダンスをしていて、まさにハワイは多民族社会で、そのルーツが異なるさまざまなローカルが桜を愛でて楽しんでいる。日米友好においてもハワイはやはり特別な、深い繋がりのあるところです。ただビッグアイランドの桜は、オキナワ桜やカンヒガン桜と呼ばれる、濃いピンクの品種なんですね。2011年から始まったハワイの桜プロジェクトでは、桜の木の下で花見をしたいという日系人の夢を叶ようという思いからでした。なので当時の在ホノルル日本国領事館では、国際的に優秀な植物学者の小山鐡夫博士に、ハワイで咲く可能性のある日本の桜の選定を依頼しました。桜は気候風土に繊細で、ハワイで育てるのは大変だということです。優良な種を8,000粒採取して発芽直前まで湿らせ、ハワイに空輸。ハワイ州農務省の施設で育苗するという綿密な連携をしたそうです。また日米間の植物検疫なども特別な許可を得ることができたと聞いています。多くの関係者の尽力がなければ成功しないプロジェクトを実現していることに、敬意と感謝をお伝えしたいと思います」

 

オオシマ桜とセンダイヤ桜

 

若木はオオシマ桜とセンダイヤ桜

 植樹会の会場には、日本から駆けつけた桜博士、樹木医の和田博幸さんの姿も。和田さんは日本全国2,000ヶ所の桜の名所づくりに携わってきた。ベルリンの壁の崩壊後、跡地に9,000本以上の桜を植えた経験もある。自身、350種もの桜の品種を育ててもいる。

「桜は寒暖差があり、秋冬に落葉しなければ花芽は付きにくいんです。ワイキキは暑く、水はけの良い環境にもありません。このマノアのエリアなら、朝夕の気温差や高台の冷涼な風、雨は降るけれど水はけの良い土壌など、適していると思います」

 今回植樹されたのは、オオシマ桜とセンダイヤ桜だ。

「枝が横に広がり、花色もそんなに濃くないので、日本の桜のイメージ通りの姿です」

 ワヒアワでツジハラファームを営む、現代の花咲かじいさんMr.ジャック・ツジハラが丹精して幼木にまで育て上げた。

 また先述したジェームス松本氏とチャコ瀬戸山氏は、自宅のあるトロントで2000年から桜プロジェクトをスタート。在トロント日本国総領事館の主導のもと10年間で3,000本の桜を植樹し、トロントの一大名所にした実績がある。

「現在はさらに5kmの桜並木を計画しています。私たちはトロントとハワイで暮らしていますので、日本、ハワイ、トロントが桜のトライアングルになりますよう、これからもお手伝いしていくつもりです」

 初桜 折しも今日は よき日なり(芭蕉)

 

(取材・文 奥山夏実)

 

 

(日刊サン 2020.2.28)

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