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デジタル版・新聞

コラム 来夏の映画観ようよ

Fukushima 50

 

 終わったー。アパートが崩れて生き埋めになる!と命の危険を感じるほど揺れた東日本大地震の翌日、追い討ちをかけるように福島第一原発1号機建屋が爆発で吹き飛んだ。

 

 2011年3月11日、日本観測史上最大の地震が発生した。各都市で家屋の倒壊や巨大津波による壊滅的な被害が生じていた頃、東京電力・福島第一原子力発電所(イチエフ)も想定外の高さの津波に見舞われ発電機が水没、全電源が喪失し原子炉の冷却が不可能という非常事態が起きていた。このままでは核燃料が溶けて“メルトダウン”に至り、東北地方のみならず首都圏までも放射能に汚染にされてしまう…最悪のシナリオを阻止すべく、所長を含めた50人の作業員たちは発電所内に留まることを決意する。

 

 あの日、福島の原子力発電所で何が起こっていたのか。恥ずかしながら、まずは離れて暮らす身内に無事だと連絡し、当分の仕事はどうするか、食糧は何日分買っておけば良いか等で精一杯で、まさかあのような状況下で危険を顧みず、日本のため文字通り命を懸け最善を尽くしてくれた人たちがいたとは想像が及ばなかった。マスメディアを通じての政府や東電本店の会見からだけでは決して知り得なかった、イチエフの緊迫した現場の様子。また、当時の総理をあんな滑稽に演じて大丈夫かと心配するほど忖度なく、全体的に嫌味な政治色が無いのが良かった。

 

 爆発が起きた瞬間、日本は終わってしまった、SFでよくある核戦争後のディストピアのようになるのかと頭が真っ白になったが、被害を最小限に抑え日本を守ってくれたFukushima50、作業員の方々には本当に感謝してもしきれない。

 

 先週、アテネから宮城県の松島に聖火が到着した。今夏の東京オリンピックは震災後の復興を世界にアピールする場でもある。新型コロナの影響により開催の有無、延期は現時点ではわからないが、いずれにしても未だ避難生活を送る被災者がいること、原発自体への問題意識を持つことを忘れてはいけないと思った。

 

 


●加西 来夏 (かさい らいか)

映画は年間100本以上視聴、訪問39ヵ国〜の旅する映画ラヴァー/聖火到着の式典中、強風で火がなかなか移せず、場を繋ぐためにショートコントを披露してくれたお笑いコンビ“サンドウィッチマン”。面白いので良かったらぜひ動画を見てみてください。


 

 

(日刊サン 2020.3.26)

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