介護保険 ~自宅や施設で安心して住み続けられるための制度~|医師 松嶋大の終活コラム3

 11/06/2019

“Vol.3 介護保険 ~自宅や施設で安心して住み続けられるための制度~

アロハ、日本から松嶋大です! 今回は、アメリカにはない制度、「介護保険」についてご説明します。 まずは、とあるエピソードから。

90代、独居、身寄りのない女性。重度の認知症、加齢による体力低下で、日常生活のほとんどのことに助けが必要な状態。自宅で生活することはほぼ無理だと誰もが考えますが、本人は入院も施設もイヤ、自宅がイイといいます。なるほど、本人がそう願うならば、その願いを実現するのがプロ。その思いを尊重して、私たちは医療保険と介護保険を駆使して、徹底的にサポートすることにしました。医者も、看護師も、ヘルパーも、連日自宅に伺い、一日1回では少なく、2~3回と伺って介護しました。本人の強い思い、そしてチームメンバーたちの献身的な介護のおかげもあり、この方は大きな苦しみもなく、「無事」に自宅で天寿を全うされました。

 

この患者さんが自宅生活を継続できた仕組みこそ、介護保険制度です。介護保険は、介護が必要になっても安心して暮らせるよう、社会全体で介護を支える仕組みとして、2000年にスタートしました。社会保険方式、つまり加入者が支払う保険料と税金を原資としています。日本在住の40歳以上の人は介護保険に加入しますが、65歳以上は第1号被保険者、40~64歳は第2号被保険者と年齢によって区分があります。両者とも保険料の支払いは義務ですが、違いとして、1号は要支援・要介護認定(後述)を受ければ誰でもサービスを受けることができ、一方、2号は脳卒中など特定疾病で介護状態にならない限りサービスを受けられません。なお、日本国籍がなくとも、公的医療保険同様に、日本に3カ月以上滞在する40歳以上の外国人にも加入義務があります。

 

保険料は、市町村もしくは加入する医療保険制度にて細かく定められています。全国平均は月額5,500円ほど。2017年時点で、一番高い市町村は8,686円、安いところは2,800円と実に3倍ほどの差があります。この違いは、地域によって、提供する介護サービスの総量が異なるためです。提供される介護サービスは、施設サービスと居宅サービスの二つの種類に分けられます。施設は要するに滞在型です。居宅サービスは、住まい(自宅や施設)にいる方が受けるもので、例えば、訪問看護や訪問介護、デイサービス(通所介護)などです。いずれも、実にさまざまなサービスがあります。介護サービスの自己負担額は、所得や収入等に応じて1~3割負担です。例えば、訪問介護(ヘルパー)で、おむつ交換などの身体介護を60分受けた場合、総額3,950円です。1割負担の方は395円が自己負担額です。

 

介護保険サービスを受けるためには、市町村の要介護認定を受けます。状態により、要介護もしくは要支援、それぞれ1~5、1~2段階に分けられ、最重度は要介護5です。介護度により保険給付上限額が定められており、当然、介護度が重いほど、保険で手厚い介護サービスが受けられる仕組みです。いかがでしょう、実に優秀な制度だと思いませんか? 決して高額ではない保険料、そしてさほど高額ではない自己負担額でさまざまな介護サービスを受けられます。介護保険のおかげで、介護が必要な状況になっても、入院することなく、住み慣れた自宅や施設で住み続けられる方が増えています。私も、この制度を活用して、何度も、何度も、患者さんを支えてきました。 そして、これからも・・・。

次回は、高齢者の施設や住まいについてご説明いたします。

 

【プロフィール】

1974年、岩手県生まれ。医師、医学博士。なないろのとびら診療所所長。ことのはグループ代表。日本CCRC協会会長。専門は総合診療で認知症と在宅医療を得意とし積極的に取り組む。現在、診療所のほか、担当患者さんの幸せを願い介護事業、飲食業、農業、住まいなどの事業を展開。信念は「目の前の人に最善を尽くす」。

【連絡先】matsushima@kotonoha-group.co.jp

WEBサイト:https://kotonoha-group.co.jp/


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