世界に冠たる日本の医療保険制度|医師 松嶋大の終活コラム2

 10/05/2019

“Vol.2 世界に冠たる日本の医療保険制度”

アロハ、日本から松嶋大です!今回は、日本の公的医療保険制度についてお話いたします。まずは、とあるエピソードから。

先日、80代女性が他医療機関宛て紹介状を持って受診されました。なぜ他医療機関宛ての紹介状なのか事情を伺いました。気分が落ち込むと、まず総合病院を受診したそうです。そこで対応できず、別の医療機関に紹介されるも、紹介先も同様に対応できなかったと。再び元の総合病院に相談しました。どこでもいいから自分で探してとのアドバイス。その後、私のところを探し出し、他医療機関宛の紹介状とともに受診されました。ちなみに、この方は三名の医師に定期的にかかり、複数の薬局から薬をもらっていました。ただし紹介状をもらった総合病院は定期的にかかっている医師ではありませんでした。

日本の公的医療保険制度は、「フリーアクセス」が基本ですので、このようなエピソードは稀ではありません。大病院であっても紹介なく受診でき、複数の医者に定期的にかかることも難しいことではありません。日本の公的医療保険制度は、「国民皆保険」「フリーアクセス」「現物給付」が原則です。

国民皆保険。公的医療保険制度の加入は強制です。日本在住日本人はもちろん、日本人以外でも日本に3ヶ月以上滞在する場合、基本的には加入義務があります。在米日系人のみなさまも、仮に帰国された場合には問題なく加入できますのでご安心ください。なお、月額保険料は収入により決まります。

フリーアクセス。受診する医療機関を自由に選べる制度です。体調がすぐれないとき、誰でも自由に医療機関を選び受診できます。さほど重くない風邪であっても、希望があれば大学病院を受診することもできます。

現物給付。医療機関窓口では、医療費総額のうち自己負担割合分のみを支払います。6~69歳以下は3割、未就学児と70~74歳以下は2割、75歳以上は1割です。70歳以上であっても現役世代並みの所得がある場合は3割負担です。この他、公的医療保険には様々な支援策があります。高額療養費制度、出産育児一時金、傷病手当金などです。高額療養費制度は、医療費負担が重くならないよう、月額医療費の自己負担上限額を超えた場合、保険から給付される制度です。例えば、年収500万円の方は1ヶ月の自己負担上限額は約8万円ほどです。75歳以上の方の場合、1ヶ月の外来診療の自己負担上限は通常18,000円です。それ以上の医療費がかかった場合、全額公費でカバーされます。また、難病や障がいをお持ちの方には、自己負担上限額が低く設定されたり、重い場合には全額公費負担となったり、医療費負担が過剰にならないような制度もあります。

以上のように、日本の公的医療保険は手厚い保障です。この優秀な制度により日本は世界一の長寿国になれたと言っても決して過言ではありません。一方で、医療保険にかかわる社会保証費の増大への対処は、現在、日本の大きな課題です。

最後に少々の小話を。稀ならず、「本お会計は100円です」と受付の声が診療中の私の耳に届くことがあります。「えっ、100円」と一瞬耳を疑いますが、間違いないのです。100円は一番安いとしても、高くても数千円程度がほとんど。しかも、診察が5分で終わろうとも、60分かかろうとも同じなんです。60分以上たっぷり語り合った後、「お会計は100円」と耳にすると、正直一瞬がっかりします。でも次の瞬間には納得するのです。この制度のおかげで、少しでも困っている方に気軽に出会えて、みなさん助かっているのだと。では、今回はこのくらいで。次回は介護保険制度についてご説明いたします。

 

【プロフィール】

1974年、岩手県生まれ。医師、医学博士。なないろのとびら診療所所長。ことのはグループ代表。日本CCRC協会会長。専門は総合診療で認知症と在宅医療を得意とし積極的に取り組む。現在、診療所のほか、担当患者さんの幸せを願い介護事業、飲食業、農業、住まいなどの事業を展開。信念は「目の前の人に最善を尽くす」。

【連絡先】matsushima@kotonoha-group.co.jp

WEBサイト:https://kotonoha-group.co.jp/


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