隣の芝生は青い|医師 松嶋大の終活コラム1

 09/20/2019

“Vol.1 隣の芝生は青い”

はじめまして、日本から松嶋大です。

 私は日本で高齢者医療や高齢者賃貸住宅などを担っております。今回、将来の健康・医療・介護に不安を持つハワイの方々が少なくないとのことで、居ても立っても居られず筆を執りました。

 先日、LAでの日系人向け終活セミナーで講演いたしました。「アメリカは医療費が高いから病気なんかになってられないんだよ。だから、日頃からカラダを鍛えたり、食事を気をつけたり、サプリメントを飲んだりして、医者いらずでいるんだよ」。セミナーで出会った80代の日系人男性の言葉です。衝撃を受けました。平均寿命を超えた男性が、ご自分の病気を細かく説明し、健康について語る。翻って日本で私が普段接している80代男性を思い浮かべました。ほぼ医師任せで、自分の病気のことを深く知らない人が多い。ましてや健康づくりに勤しむ方も多くは知りません。

 日本には世界も羨む国民皆保険制度があります。どこの医療機関にも自由に受診でき、医療費自己負担も1~3割と、医療が非常に身近です。制度のおかげもあり、日本は今や世界一の長寿国となりました。米国78.8歳(男女)に対し日本は83.9歳と、実に5歳の差です。

 日米の医療について、最近の国際データ(2012年, OECD)から比較してみましょう。

 ●人口千人あたり病床数:アメリカ3.1人/日本13.4人

 ●一人あたり年間医療機関受診回数:アメリカ4回/日本13回

 ●一人あたり年間保健医療支出:アメリカ8,745ドル/日本3,649ドル

 病床数と受診回数は日本が圧倒的に多く、その割に医療費は日本が安い。これだけみると、日本は、気軽に医者にかかれて、気軽に入院できて、しかも医療費が安い。いいことだらけに見えるかもしれませんね。でも、私は、日米、どちらも良いところもあれば、悪いところもあると思うのです。前出のLAの方のように、不安を持ちつつも、自分のカラダと健康に責任をお持ちのお姿は輝いて見えましたし、私が担当している患者さん方も安心して力強く生きていらっしゃいます。どちらも素敵。LAの終活セミナーで出会った多くの方々も口々に、「アメリカは好きだからアメリカにも住み続けたいんだけど、老後のことを思うとやっぱり日本も便利よね~」と。隣の芝生は青く見えるものですね。

 次回以降、日本の状況をご紹介します。ぜひハワイの現状とご比較くださり、ご自分自身の終活について思いを馳せていただければ幸いです。

 

【プロフィール】

1974年、岩手県生まれ。医師、医学博士。なないろのとびら診療所所長。ことのはグループ代表。日本CCRC協会会長。専門は総合診療で認知症と在宅医療を得意とし積極的に取り組む。現在、診療所のほか、担当患者さんの幸せを願い介護事業、飲食業、農業、住まいなどの事業を展開。信念は「目の前の人に最善を尽くす」。

【連絡先】matsushima@kotonoha-group.co.jp

WEBサイト:https://kotonoha-group.co.jp/


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