ハワイでの終活vol.7; ハワイで受ける介護

 07/06/2019

ハワイでの終活vol.7

ハワイで受ける介護

 厚生労働省の資料によると、日本人の65歳以上で約5人に1人、75歳以上で3人に1人が要支援・要介護と認定されています。ということは、シニアの夫婦は、高い確率でどちらかが介護を受けることになります。さらに、配偶者がアメリカ人の場合は、配偶者の親の介護の可能性もあるでしょう。どんな人だって自分や家族の身に起こる介護は、当事者を含め、コミュニティが連帯して考えなければならない現実問題です。

 

では、そうなった場合、誰に助けを求めればよいのでしょうか?英語を話す人でも、ハワイの場合、自分が住む地域にはどのようなケアがあって、どこに頼んだらいいのかという情報を得るのは簡単なことではありません。行政や支援団体、介護施設はほぼすべてが英語です。第二言語である英語は年を取ると忘れやすくなり、英語でのコミュニケーションは辛くなっていき、介護についての問合せでさえ難しくなっていきます。

 

「ハワイでの終活」7回目は、ハワイにある介護とその費用をレポートします。

 

ハワイの介護施設の費用

今回協力してくれたのは、日本人スタッフによる介護や看取りが受けられる『NPOなごみフォスターホーム』グループを主宰、運営する三浦佳代子さん。佳代子さんは、ハワイでも十数名しかいない、ホスピス看護学会認定の専門看護師です。そしてホスピスのソーシャルワーカーとして長年終末期医療に寄り添い、現在はカウンセラーとしても活躍している出村デボアひとみさん。二人は日本人のシニアケアのためのボランティア団体、『みんなのケアネットワーク』も立ち上げて活動している。

 

(左)三浦佳代子さん             (右)出村デボアひとみさん

 

― ハワイには日本語での介護サービスを受けられるところが少ないようですね。

 

佳代子:お年寄りが最期の日々を安心して過ごせる施設は本当に少ないですね。オアフ島の中で、日本語で介護をしているのは当施設と数か所くらいじゃないかな。 

 

ひとみ:私たちはホスピスでの勤務経験があり、充分とは思えない介護の実情をたくさん見てきたからね。入居する日本人は苦情も少なく大歓迎なわけだけど、施設が日本的なサービスをしてくれるわけではない。若いうちは英語で頑張ってきたけど、高齢になると母国語の日本語に戻ったり、やはり食べ慣れた日本食が良いという人が多くなりますね。

 

佳代子:介護はある日突然おそってきますからね。例えば家の中でつまずいて骨折して、エマージェンシーで入院して手術をする。ベッドに寝ていればたちまち筋肉が衰えて立てなくなったり歩けなくなったりします。自宅から病院へ生活環境が変わると、認知症も出やすくなります。

 

ひとみ:ホームケア会社からのケアギバーは、派遣時間が1日4時間からなどと決まっている会社もあります。地域のボランティア団体からボランティアを派遣して簡単な手伝いをしてくれることもありますが、日本語のボランティアはなかなかいないので、ボランティアとして活動できる日本人が地域にもっと増えれば今後助かると思います。

また、家族が働きに出ている間、家に一人でいるのが難しい方はデイケアなど日中だけ通う場所に行くことも可能です。ハワイでは2017年から、高齢者を介護する家族が働き続けられるように1日最大70ドルの援助をするKupuna Caregiversプログラムが始まりました。ただ、実際のところは介護してくれる人が身近にいなかったりして、仕事を辞めて家族の介護をしている人たちがまだまだ多いのが実情です。

 

軽い介護が必要になった場合、どのような選択肢があるかというと、まずは在宅看護です。今まで通り自宅で暮らしながらデイケアに通ったり、ケアギバー(介護士)に来てもらい、サポートを受けます。

日系アダルトデイケア、サクラハウスの費用相場は1日77ドル、ケアギバーは1時間25ドルからが相場で、夜間の依頼になると倍額します。買い物の代行なのか、入浴の介助なのか、介護内容で金額も変わるんです。

 

介護のニーズが身の回りの簡単なケアから、身体の移動やシャワーやトイレの介助というような身体的ケアになった場合、そのようなレベルの介護ができる介護士を雇うことが必要となります。

ホームヘルス会社を通して雇えますが、会社によっては毎回違うケアギバーを送ってくることもあるので、条件やケア内容をしっかり確認する必要があります。口づてで探したり、日刊サンなどにケアギバーの求人を出して直接雇う方もいます。身体的ケアなので、本当に信頼できる人材であるか確認することが大事です。

 

 

適切な施設に入るには?

― 介護の選択肢その2としては、ケアホームへの入居ですか?

ひとみ:まだある程度自立して生活のできる人が食事や掃除などのサポートを受けながら生活する施設がハワイではAssisted Livingと言います。もっと介護のニーズが高まると、ケアホーム、更にフォスターケアホームでのケアが必要になります。バリアフリーなど一定の条件を満たして自宅で2~5人など少人数を対象に運営しています。佳代子さんのケアホームもそのうちの一つですが、日本語でのケアは珍しいですね。それぞれ受け入れ基準があるので、介護のニーズが出てきたときには、まずは主治医に相談して、ケースマネージャーやソーシャルワーカーに繋げてもらうと良いでしょう。

 

Catholic Charities HawaiiやChild and Family Serviceなどの団体には、ケースマネージャーといって社会資源を提供したり、ケアをコーディネートするサービスもあります。病院に入院するなど何かが起こった時には、自宅に帰ることができない状態であれば、病院のソーシャルワーカーが相談に乗ってくれたり、健康保険会社のケースマネージャーが関わることもあります。

 

佳代子:ソーシャルワーカーというのは、患者、高齢者や障害者やその家族が適切な医療・保健サービスを受けられるよう相談窓口となり、心理的・社会的問題の解決や助言、社会復帰への促進や援助、各関係機関との連絡や調整などを行なう専門家のことです。ひとみさんもソーシャルワーカーとして働いていたのよね。

 

ひとみ:ホスピスに所属していました。病院に入院した時など、ニーズがあれば、医療機関や福祉サービス機関などのソーシャルワーカーが関わることもありますが、自宅で生活している場合には、自分からニーズを訴えなければ、誰かが自然にアレンジしてくれることは難しいですね。それが日本語となると余計大変です。

 

佳代子:以前、私の義母に介護が必要になった時、ソーシャルワーカーに相談したかったけど、コミュニティにはいなかった。医師も義母が住んでいた地域の介護情報には疎かったです。

 

ひとみ:最近は健康保険会社でナースやソーシャルワーカーのケースマネージャーが社会資源に繋げてくれることも多くなっているようです。なるべく患者さんが病院に再入院しないように、地域でのケアに力を入れているのでしょう。

 

佳代子:同じ病状で30日以内に再入院すると、メディケアの保険が減額されてしまうからね(笑)。

 

ひとみ:退院してからリハビリの為に施設に入ったとして、メディケアで最長100日まで出るのが原則だけど、リハビリをしても快方に向かっていない場合は、打ち切られますよね。では、歩けない、立てない、認知症があるなど、本格的な介護が必要になったら?

 

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