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デジタル版・新聞

川戸恵子のニュースコラム

国会が始まった!

 永田町がまた賑やかになった。1月20日は令和になって初の通常国会開会式。今年は議会開設130周年に当たるそうだが、議場上方にある記者席から見ると、新年とあって華やかな和服も多い。開会式は参議院の本会議場に衆参両方の議員が出席するので席が足りなくなり、前方階段下に並ぶ議員も。この開会式を「帝国議会の儀式を引き継ぐもので、憲法の国事行為から逸脱する」として批判、欠席し続けてきた共産党も2016年から出席するようになっている。

 衆議院議長の先導で天皇陛下が入場、一段と高いところにしつらえられた御席に着かれるとさすがに厳粛な雰囲気。衆院議長の式辞に次いで天皇のおことば、議員は皆、起立してこれを聞く。なお開会式は「会議」ではなく「式典」ということで一般の人の傍聴はできないとのこと。とはいえ、今は国会TVがあるのでネットでの中継を見ることができる。この間およそ15分。山東昭子参院議長も白地の着物で貫禄十分!

 和服が多いのは実は超党派の「和装議員連盟」という議連があって、1999年以来、通常国会開催日にはPRのために和服で登院しようという活動をしているから。今年は天気にも恵まれて議事堂正面玄関で90人近くが記念撮影。男性議員は紋付き袴、女性議員はさすがに振り袖はいなかったが(衆院は25歳、参院は30歳以上にならないと立候補できない)、薄紫、ピンク、黄色、青、中にはど派手な金と黒など色とりどりの着物に身を包み、にこやかに写真におさまる(もちろん皆さん、すぐにSNSにアップ!)。ただし、ベテランの女性議員に言わせると「年々減ってくるのよね。私だって今や着物は年に一回ここで着るだけになったわ!」

 和気藹々の写真撮影もつかの間、1時間後はまた与野党対立の国会に逆戻り。通常国会の冒頭に行われる首相の「施政方針演説」。その年1年間の政府の基本方針や政策についての姿勢を議会に説明する演説なのだが、そこには去年から攻防を続けている「桜を見る会」問題、河合法務大臣・菅原経産大臣辞任問題、河井杏里参院議員の政治資金問題、議員逮捕まで至ったカジノを含むIR問題等々、何も出てこない。ひたすらオリンピック・パラリンピックにひっかけて、今年をいかにすばらしい年にするかをPR。憲法改正は最後に付け足し、といった感じだったが、これは自分が前に出すぎると反発が強く、できることもできなくなると思っているらしい。

 ひとつ、おっと思ったのは復興五輪で岩手県野田村の交流の相手として台湾を取り上げ、議場からひときわ大きな拍手が起こったこと。日本と外交関係がない「台湾」が施政方針演説に取り上げられたのは2006年、小泉首相以来のことだそうだ。大きな拍手が起こったのは自民党青年局の議員さん達?実は青年局は自民党における唯一の台湾外交の窓口機関なのだ。日中国交回復で切り捨てられた台湾との交流は絶対必要だと時の海部俊樹青年局長・小渕恵三青年部長が俺たちがなんとかつないでいこうと、日本・台湾間の相互交流を始め、それ以来相互訪問を実施している。

 次いで、代表質問・予算委員会と本格的に国会論戦が始まり、野党は細かい新事実をもとに次々と質問をする。安倍首相からは「募集していたのではありません、募っていたのです。」なんて迷答弁が出ているにもかかわらず、安倍内閣の支持率は下がらないまま。十分な議論のないまま、1月30日には補正予算も可決成立した。しかも地元の災害からの復旧・復興費が含まれているからと言う理由で、国民の衆参4人の議員が造反、会派を組む立憲側はカンカン。(前回に書いた立憲・国民民主党両党の合流話は結局お流れに。ただし会派-国会内での合同は解消せず。)自民党に対抗する大きな塊を作る、というのは何時になったらできることやら。

 と言っているうちに中国・武漢市に端を発した新型コロナウイルス感染症の流行に国民の関心が移ってしまった。記者達の間では前回書いた「ゆずは9年の花盛り」は本心だ、安倍首相は来年の任期満了までやるのではと言う見方がひろがっている。やれやれ!

 


川戸恵子 (かわどけいこ)

TBSテレビ・シニア・コメンテ-タ-。TBS入社後、ニュ-スキャスタ-を経て、政治部担当部長・解説委員さらに選挙担当として長年政界を取材。そのほか、これまでに自衛隊倫理審査会長、内閣府消費者委員会委員などを歴任。現在、TBSNEWSで週一回の政治家との対談番組を制作。また日本記者クラブ企画委員・選挙学会理事。


 

 

(日刊サン 2020.2.8)

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