自民党夏期派閥研修会あれこれ

 09/11/2019

8月末から9月上旬にかけて自民党の各派閥が恒例の夏期研修会を開いた。毎年夏の終わりに派閥の結束を高めるために行っているのだが、今年は9月に行われる党人事・内閣改造を前にして新聞には「人事にらみ暑い夏!」とか「内閣改造にらみ存在感誇示!」といった見出しが躍る。 トップバッタ-は竹下派。例年通り軽井沢で8/25~26に。

 

「どんな様子だった?」と同行した記者に聞いたら「去年と違って穏やかに過ぎましたよ!」。そういえば去年は安倍さんが3選できるかどうかの総裁選を前に、竹下派は参院が石破茂さん支持、衆院が安倍首相支持と真っ二つにわかれたんだっけ。『一致団結箱弁当」(みんなで同じお弁当を食べて鉄の結束を図る、という旧田中派からの伝統)が崩れ、参院議員の参加が少なくて、ぎすぎすした雰囲気で終始したという。

 

今年は病気療養中で欠席した竹下会長やG7出張中の茂木敏充代表代行に代わって額賀前会長が「9月にむけて平成研(竹下派の正式名称)の存在感を示したい」と一致団結を呼びかけたそうだが、主要メンバ-の欠席でもうひとつ気勢があがらなかったようだ。その後は田代慶應大学特任教授や石井参院筆頭副幹事長による選挙指南講演、そして懇親会と続き、翌日はゴルフというお定まりのコ-スだったそうだ。

 

9/1~2には神奈川県小田原市で石破派が。講演は河合人口減少対策研究所長の「人口減少について」(石破さんがこのところ熱心なテ-マ)と岩田元日銀副総裁の「日銀の金融政策について」。企画した石破派の議員が「ウチの派は石破さんも含めて皆、金融政策にうとくて!だから企画したんだよ。良かったよ!」と胸をはったが、同行記者に言わせると「難しすぎ!」。

 

ついで麻生派は9/3~4に、去年と同じく横浜のホテルで開催(麻生さんらしい!)。講演も去年と同じ、麻生派の高村党最高顧問の「憲法について」。党内7大派閥の中で最高の5閣僚を抱え、自身も財務相留任が決まり、派内の山東昭子参院議長も実現させ、改めて安倍政権を支えることを確認したが、ポスト安倍を麻生派から出せるのか、今後の展開が難しいところ。

 

9/4~5には細田派と岸田派それに石原派がそれそれ軽井沢と山中湖村、長野県大町市で。最大派閥の細田派の講師は今売れっ子の国際政治学者・三浦瑠理氏と楽天社長の三木谷浩史氏。三浦氏の講演は「参院選後の日本政治と世論を考える〜日本人価値観調査2019~」自民党はどんな党かの分析はなかなか面白かったそうだが、派閥会長の細田さんは自分でいろいろな選挙制度を考えるほどの選挙博士なので、疑問をぶつけたそうだ。

 

もう1人の三木谷氏は自分の会社を例に挙げ、国際的に事業を展開をするためには教育が一番大事、という話をなさったとかで、細田会長これには諸手を挙げて賛成!と話してくれた。 岸田派の講師は日本初の宇宙ゴミ除去を志向するアストロスケ-ル社長の岡田光信氏。工作機械用CNC装置や産業用ロボットで世界首位の会社・ファナック視察もあり、若手の意見重用が見て取れる。

 

最後の二階派は9/7~8に福島県郡山市で。二階氏の会長就任時に「政治家はいろいろなところに出かけて見てくることが仕事だ」と発言、それ以来、毎回研修は違った場所で開いている。去年は韓国と海外だったが、今年は復興の状況はどうか、現場の声を聞いて次の政策をたてていこうということで、福島に決めたそうだ。

 

二階会長の挨拶も「研修会は研修をするわけであってゴルフを研修する必要はないんです」とゴルフがつきものの他派閥をチクリ。講師も会社社長・ジャ-ナリスト・地方自治体の長ら6人と盛りだくさんだし、次の日も原発被害の大熊町等の復旧状況などを視察とめいっぱいのスケジュ-ル。幹事長留任も決まり、新たに新人1人が入り岸田派と肩を並べただけに意気軒昂。 と見てきたが、実は9/11に内閣改造が決まっているので、この原稿が紙上に載る時には新しい顔ぶれが決まっている。

 

安倍首相は今度の内閣は「安定と挑戦の強力な布陣」にしたいと言っていて、安定は麻生財務相・菅官房長官・二階幹事長の留任。そのほかは大幅改造と言われている。「挑戦」で誰が登用されるのか?メデイアでは入閣適齢期の議員達の名前が踊っているが、もうそういう発想はやめて、是非とも今の時代にふさわしい、実力のある人を選んでほしいものだ。

 

 


川戸恵子 (かわどけいこ)

TBSテレビ・シニア・コメンテ-タ-。TBS入社後、ニュ-スキャスタ-を経て、政治部担当部長・解説委員さらに選挙担当として長年政界を取材。そのほか、これまでに自衛隊倫理審査会長、内閣府消費者委員会委員などを歴任。現在、TBSNEWSで週一回の政治家との対談番組を制作。また日本記者クラブ企画委員・選挙学会理事。


 

 

 

(日刊サン 2019.09.11)


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