『2019ホノルル歌舞伎』来年3月開催

 12/08/2018

日系移民150周年イヤーに開催されるのではと噂されていた『ホノルル歌舞伎』が、ついにキックオフの制作発表会を行った(11月29日)。  日本からやってくるのは父子で襲名したばかりの人気役者、中村芝翫(なかむらしかん)父子4人と、長唄の人間国宝である鳥羽屋里長(とばやりちょう)さんら、50余人という大一行だ。  八代目中村芝翫、四代目中村橋之助、三代目中村福之助、四代目中村歌之介と大名跡の襲名披露の特別公演で、ホノルルフェスティバルの一環として開催される。 (取材・文 奥山夏実)

 

成駒屋父子と長唄人間国宝、夢の大舞台!

この夢の大舞台を企画・実現させたのは、ホノルル歌舞伎実行委員長の鳥羽屋三右衛門(とばやさんえもん)さんだ。3年ほど前からハワイや日本で根回しをし、スポンサー探しから役者さんへの出演打診まで自らが行ってきた。ちなみに三右衛門さんは人間国宝を父に持ち、弱冠25歳で立唄(たてうた:歌舞伎の舞台で唄方の首席)を務めた長唄の名手でもある。そしてなんと、ハワイラブのサーファーでもあった! 「ハワイで最初に歌舞伎が披露されたのは1964年。私の祖父と父もハワイ興行に出演し、ハワイが大好きになったそうです。私はその前年に生まれ、5歳くらいから家族と来るようになりました。初めてワイキキでサーフィンをしたのが8歳で、今でもロングボードを楽しんでおります。半世紀の時を経て、ハワイで歌舞伎公演ができること、ハワイの皆さんに日本の本物の伝統文化を披露することができるのは関係者のご尽力のおかげです」  また日系移民150周年の歴史にも触れてこう語った。 「150年前の時代って、まだちょんまげに刀の時代ですよね。外国なんて想像もできないくらい遠いところだったのではないでしょうか。そんな未知の世界に夢と希望をかけて海を渡った元年者移民の方々の、ハワイでの重労働や苦労はいかばかりであったか……」  

 

ホノルル歌舞伎実行委員の皆さん。左から、ホノルルフェスティバルの渡辺達夫さん、伊藤康一総領事、鳥羽屋三右衛門さん、ファーストハワイアンバンクの平田梨花さん、ハワイ大学Peter Arnabeさん

 

そんな中で日本人コミュニティを作り、日本文化を根付かせ、ハワイの人々と融合していった。 「今の若い日系4世や5世の人の中にも、正座して手をついておはようございますとか、ありがとうと言う人いますよね。日本人としての礼儀はグランマから習ったって。三味線や鼓が大切に飾られていたりもする」  150年の歳月の中に脈々と受け継がれている祖国。 「この制作発表会の前に、マキキの日本人墓地に行って、明治元年者の碑に花を手向けてお参りしました。拝礼したら風もないのにその花がコトンと倒れて。あれはご先祖様が、おおよく来たな! と迎えてくれたんだと思います(笑)」  日本人が大好きなハワイ、年間180万人以上の人がハワイを訪れ楽しむことができるのは、こうした日系の先人のおかげだと三右衛門さん。ハワイの人がハワイ語やフラを大切にするように、日本人が大切にしている歌舞伎をハワイの人とシェアできる公演を成功できるよう、準備万端していきたいと語った。  制作発表に同席したハワイ大学のPeter Arnabe学部長は、ハワイ大学の演劇部にも歌舞伎コースがあり、来春のホノルル歌舞伎では学生らも公演を手伝い、本物の歌舞伎体験ができることを楽しみにしていると話した。  

 

芝翫(右)さんはじめ、父子4人が揃って大名跡を襲名するのは非常に珍しい

 

また強力なサポーターとなる、在ホノルル日本国総領事館の伊藤康一総領事は英語で挨拶。以下は、伊藤総領事のウィットにとんだスピーチの意訳だ。 「世界は歌舞伎を待ち焦がれています。一昨年は中国の北京で、今年はパリでジャポニズム2018KABUKIが行われて大盛況でした。北京、パリと肩を並べるホノルル歌舞伎、なんと三大都市の仲間入りであります!」  また同時期、日本でも『2019ホノルル歌舞伎』の発表が行われ、中村芝翫さんと4人の息子が都内で記者会見を行った。芝翫さんは、妻三田寛子さんとの結婚後が初ハワイで、なんて素敵なところだと感激しハワイ好きになったと話した。 「今でもハワイは大好きで、時々家族と羽根をのばしに来ます。成功させて、毎年ハワイで公演したい」  と大乗り気。末っ子17歳の歌之介さんによると、ハワイに来るとビーチで毎回、お母さんを含め家族みんなで相撲を取るのだという。 成駒屋の演目は、『連獅子』。父子3人の豪華絢爛な舞台は今からお楽しみに。歌之介さんは最終日だけ出演し、兄弟3人でキレッキレの連獅子を見せてくれる予定だ。

 

 

 

(日刊サン 2018.12.08)


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