ハワイの教育コラム|カリスマ音楽教師リネー先生の人生が決まる!? 大切な幼児教育 vol.16

 09/20/2019

ストリートからカーネギーホールへの道 Vol. 2 by Shige

 

2011年春、いつものTimes Square 42nd でギターを抱えアヴェマリアを歌っていると、一人の黒人男性が目の前に足を止めて聴き始めました。当時の僕はまだ外国人に慣れてなく、体の大きな黒人のおじさんが牛乳瓶の底のような厚い眼鏡の奥に鋭い眼光を光らせてずっと目の前にいると、カツアゲされるんじゃないか・・・とビクビクしていました。

 

彼の名前はジョン。この先、彼と長い付き合いになるなんて、知る由もありませんでした。彼はミュージシャンで「明日リハーサルをやるからセントラル・パークに来い、お金も払う!」と言って、電話番号を渡してくれました。リハーサルをセントラル・パークで?お金も??怪しいと思いつつも、NYに来てからとにかくオープンマインドだったので、恐れることなく約束のベセスダの噴水に行くことにしました。しかし当日、地下鉄の工事で、いつまでたっても電車が来ません。遅れること10分。噴水前で心配そうに待っているジョンが見えました。

 

遅刻を詫びると、少し離れた場所から天使のような声が風に乗ってセントラル・パークに響いてきました。ジョンに連れられていくと、段々とその声が大きくなってきます。美しい声の正体は5人の黒人の少年少女たち。小学校2年から高校2年くらいでしょうか。

 

「えー、今日から入ったシゲです」とジョンが言うと。皆がハーイ!と、少しハニカミながら優しく反応してくれました。じゃ歌おう!と、いきなり曲が始まります(汗)。

 

1曲目・Air On G、2曲目・Ave Maria、3曲目・My Favorite Things、4曲目・Amazing Grace、5曲目・Climb Every Mountain、それ以降は知らないゴスペル。楽譜も事前打ち合わせも何もありません。僕は隣にいた身長190センチくらいある男の子のパートを必死に真似して歌いました。これは、すでにストリートパフォーマンスでした。道ゆくニューヨーカーや旅行者が足を止め、すぐに人だかりができ、感動しました。この子ども達の信じられないほどに完全に調和したハーモニー。

 

もしかして・・・と思って、「君たちみんな兄弟?」と聞くと「そうだよー!ジョンはお父ちゃん!」と教えてくれました。やっぱり!でも僕は、完全に一人浮いているんです。とってもかわいい黒人の少年少女コーラス隊に何故か無精ひげ姿の日本人30代男性が混じって歌っているのです。しまいには、僕の苦手なダンスの振り付けなんかも始まりました。

 

朝9時から約6時間、歌いっぱなしでさすがに疲れましたが、でも、高校時代、山梨学院大付高校野球部の寮生活で鍛えられた精神力でヘッチャラでした(笑)

 

最後に「じゃ今日の分ね。明日も来てね」とクシャクシャの$1札を50枚くれました。憧れのNYで、そしてそこで生きるアーティストと一緒に歌い、認めてもらえたことへの喜びは、今でも忘れられません。帰り道は、隣り駅まで歩くことにしました。体は疲れ、ギターケースはとても重いのに心が跳ねる様に喜んでいるのです。72nd からパークアベニューをダウンタウン方面へ。黄昏のマンハッタン、ビルは聳え、イエロータクシーが僕を追い越していきます。あの日見た、あれほどまでに美しい夕陽を、僕はまだ見たことがありませんでした。

 

 

(文=中野成将)

 

 

 


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(日刊サン 2019.09.20


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