ハワイの学校に入学する際に知っておくべきこと Part4 「ホームスクーリング(在宅教育)について」

 12/23/2019

このコラムでは、学校に通うお子さまを持つ親が、知っておくと便利なこと、ためになることをお伝えしていきます。4回は「ホームスクーリング(在宅教育)について」です。

 

 

 

保護者が先生となり、学校に代わって子どもを教育する 「ホームスクーリング(在宅教育)」とは

ハワイ州(米国で)では5歳~18歳までを義務教育の期間としています。公立学校であれば、住居のある地域の最寄りの学校に、授業料が掛からずに通うことができます。しかし、保護者によっては、最寄りもしくは近隣の学校でも教育方針が合わない、宗教的理由で。学校環境の不安、子どもの身体的、精神的な理由により通学が困難であるなど、さまざまな理由で学校に通わせない家庭があります。このように自宅に拠点を置いて保護者が学校代わりに教師となったり、インターネットによって在宅学習によって子どもを教育することを「ホームスクーリング」と呼び、ハワイ州は1996年から正式に認めています。

 

ホームスクーリングを始めるには何が必要?

 

 ハワイ州教育局のサイトにあるフォーム4140を完成させて、近隣の学校長宛に送付する必要があります。フォーム4140の代わりに、保護者の署名入りの同意書も使用できます。

 

Form4140 ダウンロードはこちら

http://www.hawaiipublicschools.org/ DOE%20Forms/Enrollment/Exceptions4140.pdf

 

 これは、小学校入学、中学校入学、高校入学の際に提出が必要なだけで、毎年提出する必要はありません。州の管理規則12により、州の管理プログラムにおける3年生、5年生、8年生、10年生の年次進捗報告という形での、試験を受けます。科目は英語、数学など。これによって認められた得点を取得することで、各学年の修了を認められていて、大学受験の資格も得ることができます。学歴面でもホームスクーリングは認められており、「ホームスクーリング」と書くことで学校卒業に相当します。

 一方、ホームスクーリングを終了し、登校を始めたい場合は、学区の学校の校長へ連絡し、入学の手続きをしてください。  

 

教科書はどうするの?

 

 教科書は公立の図書館を利用する、ホームスクーリング・カタログを取り寄せる、出版社、専門家、一般の本屋や教育出版社などから親が選びます。またカリキュラムは、ホームスクール団体や地元の公立学校、TVやDVDやラジオ、インターネット、通信教育、教会などの宗教団体などを参考にします。しかし、教科書中心のスタイルではなく読書や遊びもその一環となります。子どもの遊びを親も一緒に楽しみながら、それを学習と考えると「情報収集力」「読解力」「分析力」「表現力」どれも、大人より優れていると感心することがたくさんあるといいます。

 

 カリキュラムは家庭によってやり方も内容も千差万別。家庭ごとに考え方も教え方も異なり、親が先生となり、ときにはチューターと呼ばれる家庭教師に特定の教科、科目のみを親以外の指導者から習う、という方法をとっている家庭もあります。また、複数の家庭の親が集まり、得意教科を教えあう、という方法をとっている家庭もあるようです。

 

 主な大学のほとんどが、ホームスクーリング  出身者の入学を受け入れている

 

 「学校に通わない」ことによる不安はないのでしょうか。たとえば、「学校に通うと先生や生徒、生徒同士の関係を通して人間関係を構築していくのに対し、ホームスクーリングはそれができないのでは?」という声があります。これに対し「ホームスクーリングで学んでいる子どもたちの社会性が低いということはなく、むしろボランティア活動などを通じ幅広い年齢の人々と交流しており、社会性に長けている子どもも多い」という結論を出している論文も。NATIONAL HOME EDUCATION RESEARCH INSTITUTEによると、

 「ホームスクーリングの子どもは自己肯定感や、リーダーシップ、自己理解、社会参画などの各種リサーチ手法によるテストにおいて、社会的、情操的、心理的にも平均値を上回る結果が出ています。また自宅学習だけでなく、フィールドトリップや青少年活動、コミュニティ活動、教会活動、ボランティア、スポーツなどに定期的に参加していることによる社会性は備わります」とあり、社交性の心配はないとのこと。むしろ、長けている子も多いようです。これは親の努力の賜物でしょう。ホームスクーリングの多くの子どもたちは、大学入試テストのSATやACTなどのテストでも平均以上の成績を収めており、大学も積極的に受け入れを行うようになっているといいます。  

 

 ホームスクーリングは、外国生活における  日本語教育に置き換えるとイメージしやすい

 

 ハワイ在住日本人家庭の多くの子どもが日本語補習校レインボー学園に通っています。レインボー学園では週に1日、土曜に登校し、日本の学習指導要領の国語や算数を中心に1週間分の授業を受けます。残りの教科は相当量の宿題が出され、自宅でフォローアップ学習をしています。宿題だけで完結する家庭もあれば、それ以外に通信教材を購入するなど各家庭でそれぞれの選択をしますが、これなどは、ホームスクーリングに近い考え方といえるのかもしれません。

 

 ホームスクーリングの究極的な目的は、親がその子の教育の責任を持ち、最善と思われる行動を取る、という決意といえます。しかしホームスクーリングを選択した親の多くは、小学生から高校卒業までのすべてをホームスクーリングだけにする、というわけではなく、ある一定期間のみホームスクーリングにする、という柔軟な考え方のもとで行っている家庭もあるようです。そしてその結果、ある学年からは学校に通わせるという選択になることもあります。このホームスクーリングでは、親が信念をもって子どもを教育するのが大切。親側に迷いがあるならホームスクーリングは難しいでしょう。

 

 ハワイには、まわりを見まわしてみると多くのホームスクーリング経験者がいる。ハワイでの教育のひとつの選択肢として、知っておくといいでしょう。

 

協力/ ハワイ州教育局 

Hawaii State Department of Education,

National Home Education Reseach Institute

 

(日刊サン 2019.12.20)


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