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インタビュー

剣道教士 七段 アロハリゾー ト・インターナショナル 代表取締役社長|高橋善郎さん

ハワイの道場と日本の道場の違いは「厳しさ」

この道場(日本文化センターで稽古をしている 「剣友会」)は日系人が多いですね。ハワ イには日本の武道に理解のある親がけっこ ういるのでしょうね。大人になってから始め る場合は、武道に興味があってやってみたい ということが多いのではないでしょうか。弁護士や大学教授など様々な職業の方が来ています。家族で来ている方も多いです。

 

今の剣道は「スポ一ツ剣道」なので流派はありません。剣道の教え方は全日本剣道連盟で規定されているので、どこもあまり変わらないと思います。試合に勝つ剣道を 教える先生とか、茎本に忠実な剣道を教え る先生とか、先生によって多少の違いはあると思います。私の場合は「基本ができていて勝つ」剣道を教えています。

 

基本はもちろん大切ですが、最終的には試合に勝つこと が剣道に興味を持って長続きする秘訣だ と思います。 この初心者クラスは金曜日の7時から9時まで。7歳くらいから大人までいますが、 ハワイは年齢の低い子供は比較的に少ないですね。防具などにお金がかかりますから、柔道や空手のように初期費用が安く済む方に流れてしまうのかもしれません。

 

最近は韓国製の安い防具なんかもあるんで すが。でも安い竹刀はすぐに割れてしまつ たり、ささくれ立ったりするんです。日本の真竹で作っている竹刀は高いけれど丈夫 です。最初の頃は稽古が激しいのでけっこ う折れますから、あまり高いものを使わない方がいいかもしれませんね。 このクラスの場合、稽古着に決まりはありませんが、以前の館長が白がお好きだったので白をベースにしていたようです。

 

昔の日本では、白は女性が多かったです。私は学生時代まで上下白でした。会社も試合着は上下白でしたね。 稽古の内容はクラスによって変わりま す。道場は神聖な場ですから、入るときは 一 礼して入る。稽古が終ったら 「稽古をさ せて頂いてありがとうこざいます」という気持ちを込めて一礼する。それをまず最初に 教えます。

 

剣道って礼儀がなかったらそれ こそ棒を持った叩き合いですから、やはりしつかりした礼儀を教えなければいけな ぃ。 「叩かれてありがとうございます」という ことを教えないと駄目だと思います。自分が 身を持って教えないとね。相手を敬い、感 謝の気持ちを忘れない事がとても肝心なのです。 基本の稽古の中で一番色んな要素を含んでいるのが「切り返し」というもので、これだけー生懸命やっていれば初段くらいは受 かります。

 

レベルに合わせて打たせてあげ で技を引き出してあげる。打たせてあげないと楽しくないですからね。でも、教わる側は打たせて戴くという精神がとても大事なのですよね。一番厳しいのは「かかり稽古」といって息を止めて1 分間くらい打ち続けるもの。引 き出さないと相手は自分のペースでしか打 ってきませんから、息をつかせないくらいに指導者が打たせます。

 

死に物狂いでうち打 ち続ける、それを何度も繰り返します。そして体が動かなくなった時に出るのが 「自然の技」なんです。試合になったときはそうい う部分が出てきます。まあ、ハワイの道場で はそこまではあまりやりません。

 

日本の道場との一番の違いは「厳しさ」 ですね。日本のように厳しくしたら問題になってしまうので、加減しながら指導しています。本当は厳しくやらないと上達しないん ですけどね。やはり苦しさがないと。 ハワイの道場も世界大会に出場しているのですが、勝てない。死ぬほど稽古をしないと世界大会では勝てません。

 

私が七段を 受けた時は会社が忙しくて思うように稽古ができなかったので、まず朝起きたら素振 りを100回、夜も100回、これだけはとにかく欠かさずに2年間毎日やりました。素振りだけでも効果はあると思いますよ、1 回で七 段に受かりましたし。心を込めてちゃんと 振ると身につきますし刃筋も良くなります。

 

まあ武道というものは厳しいものですよ。ただやっているだけではつらいばっかり です。精神修行ですから、全身を使って打ち 込まなければならない。でも終った後は大 きな爽快感がありますよ。 剣道の指導は基本的にボランティアなん です。指導者はお金をもらっているわけで はありません。私もそうやって教わってきました。自分が教わったことを今度は後輩に 教えていく。

 

お金をもらって教えるという習慣がなかったのでそれが普通でした。本当はプロモーションも大事かもしれませんが、そういうことに長けた人がなかなかいないんですよ。ビジネスでやるうとしていませんから、プロモーションとなるとお金がかかってしまう。基本的にはハワイの他の剣道クラブは道場を借りられないので、お 寺を借りたりしています。ハワイで道場があるのはこのクラブだけです。

 

ハワイ剣道連盟は次世代の指導者が皆 五段なんです。指導者になる場合は六段以 上が望ましいので日本か世界大会で試験を受けなければならないのですが、受かるレベルがなかなか育っていません。人材を育てて次の世代につなげていくことを私が お手伝いできればと思っています。やはりハワイの地元の人が育っていかないとハワ イ剣道連盟が衰退してしまうと思うので す。

 

それが私の役目かなと思います。 剣道は一足飛びには強くならない。大人になってから始める場合、体や心の健康を求めているのなら楽しい剣道になると思います。ある程度の年齢になったら、自分の体 を痛めて激しい稽古をする必要はないと思います。楽しみながら、健康であることを感 謝しながら稽古をすれば良いと思いますね。

 

 

ハワイとのつながり

初めてハワイに来たのは高校3年生の時。それが初めての海外旅行でもありました。剣道の視察団として30人ほどの団体のリ ダーとしてハワイを訪れました。試合にも勝ち、個人戦でトロフィ一を頂き 「いっかまたハワイに来たいな」と思いました。 就職してからは毎年ハワイに来るようになり、結婚してからも子供を連れて来ていました。

 

会社に勤めて30年経った時に「第 二の人生をハワイで送りたい」と思い、会社を辞めてハワイで起業することを思いつきました。それで2009年の4月にハワイに来ました。 今は日本のハイエンドのシニアの方向けに、アテンドの仕事をしています。普通のハ ワイのツアーは単純な送り迎えだけという のが多いのですが、弊社ではハワイを楽しんで頂くためにとにかく密着型でのおもてなしを心がけております。

 

ご案内だけでなく情報の提供ですとか、朝から晩まで24時間体制でサポートしています。ゴルフ好きで普段できないところでゴルフをしてみたい方」などには特にお勧めです。ハワイのプライベートコースは一般ではなかなかできませんので、そういうところにこ案内するのが弊社の役割です。

 

事業を始めるにはそれなりに苦労がありました。ビザを取るにも2年くらいかかってしまいましたし。でも来て良かったと思いま す。参考になるか分かりませんが、ハワイで 起業を考えている方は、事前によくリサーチ をして何人もの人から色んな情報を取ってから、さらに慎重に計画を立てた方が良い と思います。

 

観光ならばハワイは歓迎してく れますが、住んでビジネスを始めるとなる と、生易しいものではありません。十分注意して夢ばかり追い求めない方が良いと思う。夢を持つのは大切ですが夢ばかりが先行す ると失敗します。実はわたくしも修行が足りずに、ハワイに来てすぐに蝙されて失敗を経 験しています。 「負けてたまるか!!」と頑張った結果が今につながったと思っています。

アロハリゾート・インターナショナル
電話: 675-1218
E-mail: [email protected]

 

 


高橋善郎(たかはしよしろう)

1957年4月9日神奈川県横浜市生まれ。全日本剣道連盟 教士七段。1966年より川崎市幸警察署内道場に入門。 1969年横浜市鶴見区に矢向剣友会設立と共に移籍。 1994年同会主席師範就任。1979年トッパン・ ムーア(現ト ッパン・ フォームズ)入社と共に剣道部入部。営業と剣道の 両立を図り、営業生活30年の間に年間優秀トップセールス マンを13回獲得し、特別トップセールスマンの殿堂入りを 果たす。2009年4月アロハリゾー ト ・インターナショナル社 を設立のためハワイに移住。ハワイ剣道連盟に所属し、後進 の指導に当たっている。2011年ミッドバシフィックccのク ラブトーナメントで日本人初の優勝を飾る。


 

 

(日刊サン 2011.08.26)

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