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デジタル版・新聞

コラム 来夏の映画観ようよ

1917

 『第1次世界大戦は、1発の銃声から始まった』とよく形容される。1914年、サラエボ(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)を訪問していたオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子夫妻が、セルビア人の青年に暗殺されたのだ。これを機にオーストリアがサラエボに宣戦布告、その後各国に飛び火し、ドイツ、ロシア、フランス、イギリス、日本、オスマン帝国、イタリア、アメリカと次々に列強が参戦、人類史上初の大戦争となった。

 

 開戦からおよそ3年目の春。フランス領土における戦闘で、イギリス軍の若い兵士スコフィールドとブレイクの2名は上官から、最前線で戦う部隊のマッケンジー大佐に「敵国ドイツ軍への攻撃作戦は既に露見しているため、中止せよ」という重要な伝言を届ける任務を課される。しかしその道のりは危険極まりなく、ドイツ軍が支配する陣地を徒歩で突破しなくてはならない。翌朝の作戦開始までのリミットが迫る中、2人は無事に1600人もの仲間の前線部隊を救うことが出来るのか。

 

 塹壕戦とはこのことか―冒頭、すぐに狭い塹壕(敵の攻撃を回避する為に土を掘って作った溝)内を駆け回るシーンが続く。少しでも頭を出そうものなら敵陣から銃弾が飛んで来て即死亡、そんな緊迫感と泥水に浸った地面の不衛生感が画面から滲み出てくるようだった。

 

 第2次世界大戦に纏わる映画は数多くあれど、第1次世界大戦のものはそれに比べると非常に少ないように思う。もっとも、“ジョニーは戦場へ行った”は今でもトラウマになっているほど観ていて辛いものだが…。本作は濃密なヒューマンドラマというよりは、VR無しで第1次世界大戦を追体験するような没入感と、臨場感溢れる作品だ。伝令は間に合うのか間に合わないのか、最初から最後まで目が釘付けで、手に汗を握る経験は久しぶりだった。

 

 4年続いた戦争は、化学兵器を、また後の独裁者ヒトラーを生み出し、今日に至る中東の混乱を招いた。歴史の転換点という意味で、もっと第1次世界大戦について知っておかなければと思わされた。

 


●加西 来夏 (かさい らいか)

映画は年間100本以上視聴、訪問39ヵ国〜の旅する映画ラヴァー/平和ボケしすぎたのか年明けからずっとホラー映画ばかり観ていましたが、ある意味どんなホラーよりもドキドキしました。今は現実的に新型コロナウイルスに脅威を感じているところです。


 

 

(日刊サン 2020.1.30)

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