大統領の問題発言にNFLのチームが結束

 09/30/2017

スティーラーズのマイク・トムリン監督

 

 

トランプ大統領が流したツイートがCNNなどのニュース専門チャンネルで取り上げられるのは日常茶飯事のこと。ですが、先週末からはESPNなどのスポーツ専門チャンネルでもトップニュース扱いを受けています。

 

事の発端は22日(金)の夜。アラバマ州上院補選の予備選候補者の応援演説で、トランプ大統領が一部のNFL選手が試合前の国歌斉唱中に起立しない点を、「国旗を侮辱するような行為に対し、NFLのオーナーにはこう言ってもらいたくないかい?『あのSOBを追い出せ。出て行け!クビだ!』とね。そう言うオーナーも出てくるはずだ。そしてこの国一番の人気者になるだろう」と汚い言葉を使って厳しく批判したことがきっかけです。

 

この発言に続き、23日(土)の朝にはツイッターで昨季のNBA覇者、ゴールデンステート・ウォリアーズのステフェン・カリーを名指しで非難。カリー自身は以前からホワイトハウス表敬訪問を辞退すると表明しており、チームはトレーニングキャンプ初日に表敬訪問の是非を話し合う予定だったのですが、大統領は「優勝チームがホワイトハウスを訪問できるのは大変名誉なことだ。ステフェン・カリーがためらっているのなら、招待は取り消す」とツイッターで宣言しました。

 

そして再び国歌斉唱問題を取り上げ、「起立しないならクビだ!他の仕事を探せ」とまで書き込みました。 これに対し、NFLは声明を発表。「こういった二分するような発言は、NFLのチームや選手に対する敬意や地域社会への多大な貢献への理解の欠如の表れだ」と反論しています。更に複数のチームのオーナーも次々と声明を発表し、チーム内の選手や地域のファンを対立させるような発言には賛同できないという意思表明することになりました。

 

 

議論がすり変わる

試合そのものよりも、国歌斉唱時の対応が注目を集めた24日(日)。普段は数人の選手しか片膝をつかないチームも、オーナーを含む全員が腕を組んで一列に並び、起立するかしないかは個人の意志に任せたチームでも、片膝をつく選手が普段よりも多く見受けられました。ピッツバーグ・スティーラーズ、テネシー・タイタンズ、シアトル・シーホークスの3チームは国歌斉唱時に選手はフィールドに出ないことで一致。

 

チームには当然ながら起立したい選手も、片膝をつきたい選手もいます。しかし、それぞれが選択することでその選手の政治的な意思表明、つまりトランプ支持派、あるいは反対派として捉えられるのを避けたかったためと、スティーラーズのマイク・トムリン監督は説明しています。 先日ご紹介した通り、もともと国歌斉唱時にひざまづくのは、49ersに所属していたクォーターバックのコリン・キャパニックが全米各地で報道される白人警官による有色人種に対する差別行為に対する抵抗として始めたものです。

 

しかし、この行為を「国旗を侮辱している」、しいては「国旗の下に身を危険に晒して国を守ってくれている軍人を侮辱している」と受け取る人もいます。現役や退役軍人の中には、国歌斉唱時の不起立も含めた表現の自由を勝ち取るために戦ってきたのだからと、この行為を容認する人がいるにも関わらずです。

 

キャパニックの意図とは裏腹に、トランプ大統領は国歌斉唱時に起立しない問題と人種差別問題は別だとしています。しかし、バージニア州シャーロッツビルでの事件後に白人至上主義者を立派な人達と称したり、先週から批判の対象となっているNFLもNBAも黒人選手が大半のリーグです。その上にアメリカ大統領ともあろう人が、「SOB」という言葉を使って暴力には訴えず、表現の自由を行使している選手を解雇しろと公言するのは常軌を逸する。それがNFLのチームをかえって結束させたようです。

 

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