ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

 08/08/2019

ベトナム戦争は泥沼化、ケネディ大統領やキング牧師の暗殺。若者達はラヴ&ピースを声高に謳い、アポロ11号が人類初の月面着陸を果たした―1960年代のアメリカと聞いて漠然と思い浮かぶ出来事だ。本作は、そんな禍々しさと華やかさが混在する時代、1969年のハリウッドに焦点を当てて描かれている。

 

西部劇俳優として人気だったリック・ダルトンは、自身のキャリアに限界を感じ悩んでいたが、彼のスタントマンで運転手も務める親友クリフ・ブースは、そんな落ち込みがちなリックをなだめ、支えていた。ある日、リックがハリウッドの自宅に帰ると、前年に大ヒットしたオカルト映画“ローズマリーの赤ちゃん”の監督ロマン・ポランスキーと、その妻で新進気鋭の女優シャロン・テートを見かけ、2人が隣家に引っ越してきたのを知る。知り合いになれればと思いつつ、リックは再起をかけ奮闘、一方クリフは若いヒッピーの女の子と出会い…。  

 

レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットという2大スターの競演に加え、大御所アル・パチーノまで、となると普通はその豪華なキャスティングと演技だけで十分満足!となりそうなものだが、さすがタランティーノ監督。彼自身が6歳だったという1969年のハリウッドに生きる人々や街並み、ファッション、音楽を凝縮して再現し、当時を知らない観客にも魅力的に見せてくれる。

 

並々ならぬこだわり、映画愛も感じられ、カルトの教祖“チャールズ・マンソン”が似すぎていて一瞬ゾッとしたり、これは“ブルース・リー”ファンが怒らないかなぁ、と少々心配になるくらいのパロディシーンがあったりと、リアリティたっぷりで、まるで時間旅行をしているような気分になれる。  

 

終盤へ向けての展開は、先述の“マンソン”ファミリーが1969年に実際に起こした事件を知っている人も知らない人も全く想定出来ないものだろう。そして全てを目撃した後、映画のタイトルの真の意味とそのセンスに、なるほど、やられた!と思うはず。

 

 


●加西 来夏 (かさい らいか)

映画は年間100本以上視聴、訪問国は39ヵ国~の旅する映画ラヴァー/タランティーノ作品が大好きで、今か今かと待ちわびていた本作。期待を裏切らないどころか期待の斜め上を行ってくれる素晴らしさでした!


 

 

 

(日刊サン 2019.08.08)


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