アド・アストラ

 10/10/2019

ベストセラー小説は大抵読む、という友人が絶賛していた“サピエンス全史”を読んだ。現代に生きる人類=ホモ・サピエンスの進化、歴史を順に追い、なぜ他の種ではなく私達が地球上で栄えるに至ったかについて考察したものだが、素晴らしいと感じたと同時に少々憂鬱になった。

 

近未来。国際宇宙アンテナで作業中の宇宙飛行士ロイ・マクブライドは、突如サージと呼ばれる強力な電気嵐に襲われ超高所から落下するも、沈着冷静な対処で墜落死を逃れる。

 

回復後、アメリカ宇宙軍から呼び出され、同じく宇宙飛行士で16年前に地球外知的生命体の探査に出たきり消息不明になっていた父クリフォードが実はまだ生きていると告げられる。

 

そして、世界各所で飛行機を操縦不能にさせ大停電を引き起こす脅威、サージの発生源は父がいるとみられる海王星付近からのものだというーロイは、父とコンタクトを試み、探し出せという任務を与えられる。

 

SF映画というジャンルではあるものの、憧れていた父がいなくなってしまったことへの失望、そこから心を閉ざして生きてきたこと等の主人公ロイの心理描写が多く、ヒューマンドラマの要素が強い。そんな憂いに満ちたロイを、セリフだけでなく表情でも繊細に演じきったブラッド・ピットが見所!

 

また、エイリアンとの格闘や惑星ごと吹き飛ぶといった派手なシーンはないが、数十年後にはきっとこうなるだろうという未来予想図、月面や火星基地の様子にリアリティがあり、こんな時代がすぐそこまで来ているのか、とワクワクもした。

 

劇中では、月へ気軽に旅行が出来、ファストフードもある一方、資源を奪い合う紛争地帯もあり、それを目の当たりにしたロイはまるで地球と同じだ、と半ば呆れる。

 

先述の“サピエンス全史”では、ホモ・サピエンスがネアンデルタール人やデニソワ人など旧人類を絶滅に追いやったとされているーもし地球外知的生命体に遭遇したとして、私達は友好的な関係を結べるのだろうか…本の内容と重ねてそんなことまで考えさせられたのだった。

 


●加西 来夏 (かさい らいか)

映画は年間100本以上視聴、訪問39ヵ国~の旅する映画ラヴァー/地球外生命体の探索って、人類自身のルーツを知ることでもあるのかなと思うのです。“2001年宇宙の旅”や“プロメテウス”なんかを観ると特にそうですが…広大な宇宙に知的生命体は人類だけ、なんて私は思いません☆


 

 

(日刊サン 2019.10.10)


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