まだまだ続くNFLの国歌斉唱問題

 10/14/2017

カウボーイズの本拠地AT&Tスタジアム

 

 

8日、インディアナポリスで行われたサンフランシスコ・49ers対インディアナポリス・コルツ戦に、ペンス副大統領がカレン夫人同伴でスタジアムを訪れました。前日には2011年までチームのクォーターバックを務めたペイトン・マニングの銅像がお披露目されたばかり。試合にはマニングをはじめ、レジー・ウェインやジェフ・サタデーなど現役時代のチームメイトも姿を見せました。

 

しかし、ペンス副大統領は国歌斉唱後、試合を見ずにスタジアムを退場。その後で「大統領も私も、軍人や国旗、国歌を侮辱するようなイベントに敬意を示したくない」などと記した声明を発表し、ボイコットの意志表明だったと明かしています。これを受け、トランプ大統領は「副大統領には選手が片膝をつき、国を侮辱するようなら、スタジアムを後にするよう指示した」とツイッターに書き込み、副大統領夫妻の行動を褒め称えました。

 

副大統領はラスベガスで前日、乱射事件後の犠牲者祈祷式に出席した後に、インディアナポリスへ向かいました。インディアナ州は副大統領の出身地で、今年1月まで知事を務めていた州です。公費を使って移動したにせよ、マニングの銅像がお披露目された週のコルツの試合を見に行くこと自体はニュースにならなかったかもしれません。

 

しかし、インディアナポリスへ飛んだのは「NFLをボイコットせよ」という大統領の呼びかけに応えた手本を示すためだったことが判明。早々とスタジアムを引き上げた後は、ラスベガスよりも更に西のカリフォルニアへ飛んで資金集めのイベントに出席したため、公費乱用で批判されることになりました。

 

 

起立を強制する可能性も

2011年2月には第45回スーパーボウルが開催された

 

トランプ大統領のNFL批判はまだまだ続いています。NFLでは来週ニューヨークで開催されるオーナー会議で、選手会の代表も交えてこの問題を話し合う予定。国歌斉唱時に選手の起立を義務づける規定を設けるのではないかと見られています。現行規定では、選手は国歌斉唱前にサイドラインにいることが義務づけられ、これを怠った場合は出場停止処分や罰金が科せられる可能性があるとの記載がありますが、起立しなければ処分や罰金の対象になるとは明記されていないようです。

 

ダラス・カウボーイズのジェリー・ジョーンズ・オーナーは8日の試合の後、「国旗を侮辱する選手は出場させない」、「色々と議論されているが、NFLとカウボーイズは国旗に向かって必ず起立する」とコメント。2週間前の試合では、国歌斉唱の直前に選手と一列に並び、腕を組んで片膝をついていたのですが、態度が一転しています。

 

この発言を受け、大統領はジョーンズ・オーナーを褒め称える言葉をツイッターに書き込んでいます。 どのチームのオーナーにとっても、非常に厄介な問題であるのは明らかです。選手の表現の自由を頭から否定するわけにはいかず、起立しないのは国旗や軍人に対する侮辱ではなく、人種差別の撲滅を訴えるものだと分かっていても、国歌斉唱時に起立しない行為そのものに反対している人は大勢います。

 

その意見を代表してアメリカ大統領にNFLをボイコットせよとツイッターに書き込まれたのでは、オーナーの心中は穏やかではないはずです。スポーツとはいえ、NFLも営利目的のリーグであり、ファンやスポンサー離れが進めば、オーナーの懐に直接響きます。 しかし、ファンはもちろんのこと、スポンサーの中にも黒人選手の主旨に賛同する人はいるはずで、根底にある問題に触れずにリーグやチームが無理やり起立を強制したのでは、それが原因で離れていくファンやスポンサーも出てくるでしょう。

 

ただ、それがチームのファンやスポンサー内で少数派なら、各チームとも収益ダメージの少ない意見を優先するのかもしれません。リーグの収入の48パーセントは選手の年俸や年金に充当されるため、オーナーの懐が痛めば、結果的には選手の懐も痛むことになります。その点を選手に訴えれば、選手とオーナー間で何らかの解決策が見つかる気がします。

 

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