和紙の世界

 11/30/2018

他にもまだある、紙の原料になる植物

紙は、基本的に繊維のあるどの植物からでも作ることができます。ここで紹介している植物の他、棉(わた)、ケナフ、芭蕉、い草、オクラ、桑、バナナ、パイナップル、小麦、大麦、サトウキビ、トウモロコシ、ココヤシ、藤、科(しな)の木、葛、葭(あし)、笹、杉、竹などでも紙が作られています。

サトウキビの絞りかす「バガス」。非木材紙の原料として注目されている。(wikipedia)

 

製紙の工程

 

水槽の中で紙を漉く「流し漉き」という和紙の製法は、奈良時代(710-794)から続く日本独自の製紙工程です。ここでは、最も一般的な和紙の原料、楮(こうぞ)での製紙方法をご紹介しましょう。

 

1.刈り取り 11月末〜1月にかけて、楮をかり取ります。

 

2.蒸し 刈り取り後1週間以内の楮を同じ長さに切った後、甑(こしき)という蒸し器を被せ、3〜4時間蒸します。

 

3.皮剥 蒸した後、冷水をかけて皮を縮め、冷めないうちに幹から皮を剥ぎ取ります。剥ぎ取られた皮は「黒皮」と呼ばれます。

 

4.乾燥 取れた黒皮を天日で乾燥します。

 

5.川晒し 乾燥した黒皮の外皮を取り除きやすくするため、川の流水などに一昼夜晒します。冬の雪国では、雪に晒すこともあります。

 

6.手繰り(たくり)「タクリコ」というナイフ状の道具で外皮を剥ぎ取り、内皮を出します。この内皮は「白皮」と呼ばれます。剥ぎ取られた外皮は、質が落ちる「ハッサキ」と呼ばれる紙を作るのに使われます。

 

7.煮熟(しゃじゅく) 白皮をソーダ灰に入れて3〜4時間煮詰めます。余分なものが取り除かれると共に、繊維が柔らかくなります。

 

8.川晒し・2回目 ソーダ灰を洗い流すため、川の流水などに一昼夜さらします。また、天日にさらされることによって繊維が白くなります。

 

9.ちり取り 繊維にある節、傷、汚れなどを手作業で取り除きます。

 

10.叩解(こうかい) 「バイ」という樫の木の角棒で、繊維が細かくなるまで叩きほぐします。

 

11.攪拌(かくはん) 綿のように細かくなった繊維を「舟」と呼ばれる水槽の中に入れます。そこに水とトロロ(つなぎ)を加え、櫛状の道具、馬鍬(ませ)で撹拌します。この作業は「ザブリ」と呼ばれ、ザブリが終わった繊維は舟水と呼ばれます。これらの工程で使う水は、カルシウムやマグネシウムの含有量が少ない軟水が適しています。

 

12.流し漉き 紙漉きの道具「スケタ」を動かしながら紙を漉きます。この作業で紙の厚さを調節します。

 

13.紙床(しと) 漉き終わった紙は、紙床という台に寝かせます。間に空気が入らないように和紙を重ねていき、水切りのために一昼夜放置します。

 

14.圧搾 紙床の紙に重石などで圧力をかけ、そのままの状態で一昼夜放置します。これでさらに水を切って、トロロの粘り気を取り除きます。

 

15.板張り 紙床から、圧搾を終えた紙を一枚ずつ剥がして、銀杏などの木板に張り付けます。木板に張り付けられた面が滑らかで光沢のある表になります。

 

16.天日乾燥 天日で乾燥します。ここで、紙はより白くなります。

 

17.検品 木版から剥がし、検品後に出荷します。

 

神宮御用紙としての伊勢和紙を作っているところ

 

(日刊サン 2018.11.24)

 

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