【特集記事】ハワイの花鳥風月

 02/10/2020

「花鳥風月」は季節ごとの自然の美しさ表す四字熟語です。「花鳥」は花を愛で鳥のさえずりに声に耳をすます心を、「風月」は自然の風景に親しみ、楽しむ風流な心を表しています。日本の和歌や俳句の題材というイメージの花鳥風月ですが、今回のエキストラ特集では、ここハワイで親しまれている花鳥風月をご紹介しましょう。

 

アロアロ(Aloalo) ハイビスカス

 

 

 ハワイの花といえば、多くの人がまずはハイビスカスを思い浮かべるのではないでしょうか。現在は州の花として親しまれているハイビスカスですが、古代のハワイでは装飾用や薬用として葉や花が利用されていました。ハワイには約50種類が自生しており、街中ではさまざまな色の栽培品種も見られます。ハイビスカスの栽培品種の開発が始まったのは約120年前。現在では5,000種類もの栽培品種が流通していると言われています。

 

イリマ(ʻIlima)…ハワイ在来種

 ハイビスカスの一種、イリマは、ハワイ王朝時代以前より高貴なレイ・フラワーの1つとして栽培されてきました。小ぶりで黄色い花は、ハワイの神話では、フラの女神・ラカ(Laka)が化身した姿とされています。数百に及ぶ花が必要といわれるイリマのレイ、「ロイヤル・レイ」は、幸運を象るものとして旅に出立するに贈られたりすることも。ハワイ式のお葬式では、次の世界へ旅立つ死者を送り出すという意味でロイヤル・レイが使われることもあります。1923年までハワイの国花だったイリマの花ですが、現在はオアフの島花として人々に親しまれています。

 

 

 

コキオ・ウラ(Kokiʻo ʻula)…ハワイ固有種

 ハワイ固有種のコキオ・ウラは、ハワイ準州時代の1923年から65年間、ハワイ州花として親しまれていました。初代ハワイ州花の赤いハイビスカスは、しばしばハワイを連想させる花として登場します。昔のハワイ人は、自生するコキオ・ウラを、カパの染料や便秘薬、儀式の装飾品など、さまざまな目的で使っていました。また、白いハイビスカスと交配させることで、多くの栽培品種が作られました。以前は全島に自生する一般的な花でしたが、現在はカウアイ、オアフ、モロカイ、マウイ各島の標高65~895mにある森に自生しています。数が少ないため、自然にあるコキオ・ウラを観察するのは大変難しいと言われています。

 

 

コキオ・ケオケオ(Kokiʻo keʻokeʻo) …ハワイ固有種

   ハワイ固有種のコキオ・ケオケオは、古代ハワイの神話にしばしば登場する白いハイビスカスです。原産地によって種類があり、カウアイ島の固有種はワイメア渓谷など標高250~1,200mにある湿った森に自生しています。白い花弁は楕円形で、花の真ん中から出ている蕊柱は赤色です。種が輸出されたため、フロリダや西インド諸島でもよく見られるようです。オアフ島の固有種はワイアナエ山脈とコオラウ山脈にある標高350~800mにある湿った森に自生しています。カウアイ島のものに比べ、花弁がやや細長くなっています。モロカイ島固有種は花弁も蕊柱も白色。大変希少で、野生の個体はモロカイ島北部に数本あるだけなのだそう。

 

 

 

マオ・ハウ・ヘレ(Maʻo hau hele) …ハワイ固有種

 ハワイ州花として親しまれている黄色いハイビスカス。マオ・ハウ・ヘレというハワイ語の名前には「旅する緑のハウ」という意味があります。「ハウ」はビーチ周辺で見られる別の種類の黄色いハイビスカスのことです。絶滅危惧種で野生のものは希少ですが、栽培されたものハワイ州内のさまざまな場所で見ることができます。花弁・蕊柱共に黄色で、比較的乾燥した場所を好みます。

 

 

 

ハワイミツスイ

 

 ハワイの固有種群であるハワイミツスイの祖先は、北アメリカのハウスフィンチ(スズメ目 アトリ科 ヒワ亜科 マシコ属)といわれています。現在確認されているだけで、約20種類が生息しています。以前は32種類まで記録されていましたが、そのうち12種類は既に絶滅したと考えられています。種類によって、体長は10〜20cm、くちばしもさまざまな形に分かれています。赤いハワイミツスイの羽は、ハワイ王朝時代は王族しか身に着けられない特別なレイやマントの材料として使われました。1枚のマントに約3万枚もの羽が使われるため、多くのハワイミツスイが捕えられましたが、個体数を減らさないよう、必要な羽を抜いた後は森に返されていたのだそうです。

 

アパパネ(ʻApapane、アカハワイミツスイ)

【スズメ目 アトリ科 アカハワイミツスイ属 アカハワイミツスイ】

 アパパネは、ハワイ固有種の鳥としては最も多くの個体が生息し、ハワイミツスイの中では最もよく見られる鳥です。ハワイ諸島全域の森の中で観察することができます。体長12〜14cmで、雌雄同じ色をしています。胴体は赤で、頭頂部分に白っぽい羽毛が混じり、くちばし、翼、尾は茶色がかった黒。真っ白なアルビノの個体も観察されているのだそうです。幼鳥の胴体は濃い茶色で、腹の部分に白っぽい羽毛が生えています。繁殖は10〜11月から始まり、ピークは2月〜6月。オヒア・レフアの木に巣を作り、1〜4個の卵を産みます。食事は花の蜜や虫。鳴き声は「ピピーピヨヨヨ」「ピーキーチョンチョンチョン」など約16種類あり、10〜30秒間隔でさえずります。また、棲む地域によって微妙に異なるリズムや音程があります。

 

 

イイヴィ(ʻIʻiwi、ベニハワイミツスイ)

【スズメ目 ハワイミツスイ科 ベニハワイミツスイ属 ベニハワイミツスイ(絶滅危惧種)】

 ハワイを代表する鳥として、しばしばポストカードやパンフレットなどに登場するイイヴィ。体長は約15cm、オレンジがかった赤い羽と、ピンク色で大きくカーブした長いくちばしが特徴的。ロベリアなど壺型の花の蜜を吸うために長く湾曲したくちばしに進化したと言われています。尾と翼は胴体の赤色と対を成す黒色。イイヴィ・ポポロと呼ばれる幼鳥は、くすんだウグイス色にオレンジなどが混ざった斑模様で、翼部分は濃い灰色。成長も幼鳥も雌雄同じ色をしています。  標高1,000m以上の森に棲む彼らの主食はオヒア・レフアの花蜜やクモなどの虫。身体の赤い色はオヒア・レフアの花の色と被るため、天敵から身を守る保護色になっています。羽ばたく際の音が大きく、静かな環境下ではかなり遠くの方まで羽音が響きます。単体で行動することが多く、性格は攻撃的。縄張り意識が強く、他の種類の鳥を威嚇し遠ざけるなどの行動が見られます。繁殖はほぼ1年中行われ、オヒア・レフアの木に巣を作り産卵します。鳴き声は古いドアが開くような「キィィー」という音や、「ピューィー」という長い音など。他の種類の鳥の声を真似ることもあります。ハワイ島、マウイ島では観察できますが、そのほかの島ではなかなか見ることが難しいようです。

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