私の旅ストーリー Vol.53 日本人とサクラ

 04/03/2017 : 176 Views

仕事の関係で、NYから日本に束の間の帰国中、ラッキーなことに、桜の開花と日本滞在が重なることとなった。テレビではここ最近、毎日のように、日本各地で桜の開花や満開を伝える映像が映し出されている。

去年は、NYのブルックリンボタニカルガーデンで美しく咲き誇る日本の桜を、友人たちと楽しんだが、日本で桜を味わうのはいつ振りだろう。桜の便りを聞くだけで心がすごく弾む。やはり自分が日本人であるということを自覚する出来事のうちの一つだ。

今まで幾度となく桜を見て来たけれど、私の人生の中でどうしても忘れることのできない桜がいくつかある。その中の一つは鹿児島県。

 

今から8年前、ちょうど全国で桜が咲き乱れ、満開から終わりを告げ始めたころ、私は両親と祖母、アメリカ人の夫アダムとともに鹿児島の知覧を訪れた。以前から、一度訪れておきたいと思っていた、鹿児島県南九州市にある知覧特攻平和会館に足を運んだ。

入り口に向かう道は、雲一つない真っ青な晴天を背景に、ほんのりかすかなピンク色をした桜の花が見事なコントラストを見せ、思わず息をのむ程美しい光景が広がっていた。

知覧は、ご存知の方も多いと思うが特攻隊として多くの若者がお国のためにと、その尊い命をかけて、いざ飛び立った場所。平和会館の中へとすすむと、到底言葉にできない現実と向き合うこととなった。

会館を出てから見た桜は涙でにじんでいたけれど、優しく、見事に咲き誇っているだけでなく、これからの自分の生き方をもう一度じっくり考え、力強く生き抜く勇気を与えてくれた。

 

私は1年の半分以上を海外で生活している。はじめて日本を離れ、海外で暮らすことを体験したのは小学生のときだが、自国に対する熱い想いは歳を増すごとに深まっているように思う。

時には、自分の国から離れ、客観的視点で観察してみると、今まで見えていなかった良いところや悪いところが見えてくることもある。

小さい頃から、様々な国ををたくさん旅してきて、色々な経験をしてきたが、私は自分の生まれ育った日本が大好きだし、日本人であるということを誇りに思っている。

世界を旅することも好きだが、もっと日本全国を巡って、まだまだ知らない日本を見て感じて、体験していきたい。

儚くも、見事に散り行く満開の桜の下で、そう思った。

 

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。www.chizuomori.com

 


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