私の旅ストーリー Vol.49 “Pay It Forward”

 02/27/2017 : 225 Views

 

アメリカにいると、全く見ず知らずの人から親切を受けることがよくあります。

 

以前、ハワイに滞在していた時のこと。食材と共に、赤ワインを買おうとレジへ向かうと、私にIDの提示を求められました。その時は、日本の運転免許証しか持参しておらず、それでは年齢確認ができないので、アルコールを売れないと言われました。

一緒に居た私の夫アダムがIDを見せても、二人一緒に買いに来ているので私のIDがなければ売れないの一点張り。赤ワインは諦め、お店を後にし、駐車場で食材を積み込んでいました。

すると、あるハワイアンの女性が、赤ワインのボトルを持って、私たちの方へと、走ってやってきました。見覚えのあるその女性は、先ほどレジで私たちの後ろに並んでいた人。すべてのやり取りを見ていた人です。

女性は、ワインボトルを私たちに差し出して、こう言いました。

「これは、私からの気持ちよ。受け取ってね!」

 

全く、見ず知らずの女性が、わざわざ私たちが買おうとして買えなかったワインを、なんと自腹で買って、持って来てくれたのです。その事実に衝撃を受け、キョトンとしている私に彼女は、“Have a great day!”そう言って、何事もなかったかのように、足早に笑顔で去って行きました。

アダムがお金を渡そうと、急いで後を追いかけましたが、彼女の姿はもう、何処にも見つかりませんでした。

あまりに一瞬の出来事でした。名前も何も知らない彼女に、お返しすることはもうできない。どうしたらいいのかと考えていた時 「“Pay It Forward”。(昔映画でもありましたが、人から受けた親切をまた別の人に新しい親切でつないでいくこと)僕たちが彼女から受けた親切を、ありがたく受け取って、また別の人に僕たちができることをお返ししていこうね」

とアダムが言いました。

 

善意をいただいた彼女に対して、どうお返ししたら良いかばかりが頭をぐるぐる回っていた私。彼の一言で、目の前で起きたことに感謝をして、そして、今度はまた別の誰かに善意をお返しすることができるんだ、という大事なことに気づいてハッとしました。

見ず知らずの彼女が私たちにしてくれたように、一人一人の思いやりが幸せの連鎖となり、やがて大きくなって広がって行くのですね。

私にとって、一生忘れることのできない出来事のひとつです。

 

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。www.chizuomori.com

 


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