私の旅ストーリー Vol.13 GAPベイビー

 06/13/2016 : 153 Views

 NYに戻り、2カ月が過ぎました。昨日、地下鉄に乗っていて、世界中から集まる様々な人々の顔を見ながら、ある昔の出来事を想い出していました。  

 

 2003年頃、私はNYのブルックリン地区で暮らしていました。その日は、いつもとは違う時間帯に電車に乗り込みました。  

 いつもとは違う時間帯の地下鉄は、いつもとは違い込み合っておらず、好きな場所を選んで座ることができました。そして、たまたま、ある女性と目が合い、その方がニコニコしていて、なぜか、吸い込まれるように隣の席に座りました。アフリカンアメリカンの10代後半とも見える若いお母さんが1才前後のとっても可愛い赤ちゃんを抱いていました。  

 座って間もなくのこと。その若いお母さんが私に話しかけてきました。「今日は、私たち、とってもいいことがあったのよ!」  

 身体全体から嬉しいオーラが満開の彼女は、更にこう続けました。「たまたま、デパートの中にある子ども写真コーナーへ行ったの。そしたら、偶然GAPの関係者がそこにいてね。GAP BABYのモデルにスカウトされたのよ!その帰り道なの〜」  

 大興奮しながら話をしてくれた彼女。想像もしていなかった凄いことが身に起こり、とにかく誰かに話したくて仕方なかったのでしょう。私も彼女の話を聴きながらワクワクし、一緒になって喜び盛り上がりました。  

 それから、数カ月。私はもしかしてあの赤ちゃんが何処かに出ているかもしれない…と日々、街の中や雑誌などでその赤ちゃんを捜していました。しかし、見つからず…。現実はやっぱりそんな簡単にはいかないのかな…と少しがっかり。しばらくして、私と主人は急遽、日本へと移住することになりました。  

 GAPベイビー親子のことも忘れかけていた頃、美容院に行き、普段は読まないジャンルの雑誌をたまたま手に取りました。そして、ページをめくってみると!! そうです! あの、ベイビーが紙面一面を飾っているではありませんか!  

 髪を切って貰っている最中でしたが、「わーっ!!」と思わず大声を出してしまい、美容師さんを大変驚かせてしまいました。(笑)あの時、電車に揺られながら、大喜びで話をしてくれたあの若いお母さんの、更に喜び溢れている笑顔が想像でき、ただただ嬉しくて、感動で涙が出そうになりました。  

 

 人生って、いつ、どんな素敵なことが起こるかわからない。想像を遥かに超えた素敵なことだってどんどん起こるんだよ〜ということを、この親子を通してあらためて教えてもらった気がします。人生の岐路に立った時、不思議と、いつも決まってあの親子の笑顔が心に浮かんでくる。そして、未来への希望が湧いてくるのです。

つづく  

(日刊サン  2016/6/13)

 

大森 千寿

香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

www.chizuomori.com

 


関連記事

関連記事はありません。



その他の記事