日本の相続は今…【第13回 戸籍について】

 07/16/2017 : 1056 Views

日本では遺言を書く人が少なく、またたとえ遺言があってもすべての財産を網羅していないため、相続による名義書き換えでは分割協議書の作成が必要となってきます。  

たいていの金融機関ではトラブル回避のために金融機関独自の申請書も求めてきます。いずれの場合でも、同時に戸籍謄本と印鑑証明が必要となります。戸籍謄本で誰が相続人なのかを確認し、印鑑証明でその分割協議書に押されている印鑑がその相続人のものであることを確認するからです。  

これらの書類は税務申告に必要であるばかりでなく、各種手続きに必要となってきますのであらかじめ必要な通数を把握していおかないとあとで何度も取り直すことになり、大変な思いをすることになります。不動産に関しては法務局で名義変更の登記が必要となってきますが、複雑ですのでたいてい司法書士に依頼することになります。  

 

亡くなった人の相続人が誰かを特定するには亡くなった人が生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて確認する必要があります。例えば福岡で生まれて、長野に引っ越し、結婚して東京で家を構えた場合などは福岡、長野、東京すべての戸籍をつなげないと相続人である子供の存在や離婚した記録が把握できないため、すべての役所から戸籍謄本を取り寄せなければならないのです(必ずしも引越しのつど本籍地を変更しているとは限りませんが)。親の戸籍を郵送で取り寄せる場合などは現在の戸籍からその前の戸籍の所在地を把握して、追いかけていきますのでかなり時間がかかることになります。あまりに複雑な場合は、司法書士に委任することもできます。  

 

戸籍がほぼ完璧に整備されている国は日本だけといわれていますが、誰でも他人の戸籍を取り寄せることができるわけではありません。本人や相続人以外が取り寄せる場合は委任状が必要となってきます。戸籍制度では個人よりも家を重視するため、結婚すると新しい家庭を持つため実家の戸籍から外れ、新しい戸籍を作ることになります。「結婚する」ことを「籍を入れる」というのもここから来ています。夫婦から子供が生まれた場合は問題ありませんが、婚姻関係のない男女から生まれた子供(非嫡出子)については父親が認知しない限り、父親欄が空欄となります。  

2013年に民法が改正され、非嫡出子の相続分は嫡出子と同じ割合となりましたが、そもそも認知されていない子供に関しては父親の戸籍に載らないため存在そのものがないことになってしまいます。きちんと財産を残してあげるためには認知もしくは遺言を残すことが必要です。

 

(日刊サン 2016/10/25)

 

内藤 克(ナイトウ カツミ)

税理士法人アーク&パートナーズ(東京、有楽町)代表税理士、東京税理士会所属。税理士法人アーク&パートナーズ代表。ハワイと日本の税務法務専門家ネットワーク「ハワイ相続プロジェクト」代表。 弁護士会、金融機関、後継者団体で事業承継講演のほか、日経新聞・日経各誌への執筆実績多数。

www.the-arcist.com


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