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デジタル版・新聞

インタビュー

2019ホノルル歌舞伎:満員御礼で御座りまする

八代目 中村芝翫 さん Nakamura Shikan

歌舞伎史上初の親子4人、同時襲名。有終の舞台を大好きなハワイで締めくくれて幸せです

2019ホノルル歌舞伎の本番を控えたリハーサルで、会場となるハワイ大学構内にあるケネディーシアターを訪れた芝翫さん。私服姿で現れ、舞台を見渡しながら感慨深げに呟いた。

 

「こんなに立派でまっすぐな花道があるなんて! 舞台もちょうど良い大きさで、客席との一体感もあります。僕はハワイが好きで、家族旅行で何度も来ていますが、こんなにすばらしい会場があるなんて知らなかった。52年前に行われたホノルル歌舞伎には、僕の大叔父の中村歌右衛門(六代目)も出演しましたので、ご縁ですね。1度限りに終わらせることのないよう、今回のホノルル歌舞伎を成功させて、何年かに1回は上演できるようになりたいなあ。今回は役者裏方含め、日本から50人の大所帯で来ましたからね、息子たち若い世代には特に大きな刺激になると思います」

 

花道を歩いたり、舞台の大道具に上がったりしながら会場の感触を確かめてご満悦。さっそく成駒屋の浴衣に着替えて、リハーサルを始めた。 「連獅子というのは、父親ならではの子に対する厳しい教育です。父は子を深い谷底に蹴落とすんです。子を思う親心を胸に秘めてね。獅子の子どもは父に蹴落とされても、力を振り絞って這い上がってくる。父の期待に応える健気さがなんともいじらしくてね。親子の絆と情愛があふれる名作です」

 

芝翫さん、始めは堂々たる押し出しで父の威厳を打ち出した舞を踊るが、子獅子を谷底に落としてからは、心配でたまらない親の胸中をのぞかせるような所作を垣間見せる。そして子が信頼に応えて生還するや、目に涙、安堵の笑みをうっすらと湛え、懐の深い父親の愛情をたっぷりと舞う。世界共通、理想の父親像! 芝翫さんもそんなお父さんなのだろうか。 「いやいや、僕の方が谷に蹴落とされていますよ(笑)」

 

お茶目な笑顔で笑いを誘う。実際、芝翫さん父子は仲が良く、友達同士のように接している。若手の演者や裏方さんにも、芝翫さんは気さくに声をかけて場を和らげている。

 

 

 

歌舞伎史上初の4人連獅子、 襲名に使った屏風をハワイ大学に寄贈

「息子を三人授かってから、四人で連獅子を演じるのが僕の夢だったんです」

だから今回の襲名公演でやってみないかと勧められた時、本当にうれしく光栄に思ったという。 「史上初ですねと、ファンの方も大変心待ちにしてくださって。ご期待に応えられるよう、息子たちを引き連れてきちんと成功させなければと、身の引き締まる思いでした。初演の四人連獅子から2年たち、息子たちは肉体的にも精神的にも大きくなりました。ハワイ公演で成長した子獅子と共演できるのが楽しみです」

父は白く長い獅子かつらをつけ、3人の子は紅く長い獅子かしらを付け、勇壮な姿で激しい毛振りをする。4人が息を合わせ、7kgもある長い毛をキレッキレの超高速で振り回す圧巻の豪快技! 会場からは歓声とやんやの拍手! スタンディング・オベーションで沸き返った。

芝翫さんはまた、日本で襲名披露公演の口上でずっと使ってきた屏風絵を、ハワイ大学に寄贈した。 「日本画家で世界でも知られた朝倉隆文さんによる、『松風白虎』の絵です。2年間、日本各地を回り、口上のご挨拶の時にいつも使ってきた作品です。襲名披露最後の締めくくり公演となったハワイに置いておくことができたら、僕にとっても良い記念になります」

サプライズのビッグプレゼントに関係者は大喜びだった。

 

 

 

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