戦う相手は自分自身 ハワイ競泳界の希望の星

 01/01/2017 : 1310 Views

 

水泳禁止が罰?!

 「洗濯物をたたまないなら、今日は水泳禁止!」と、普通の家庭ではちょっと考えられない罰則があるタナカ家。エレナさんにとって「泳げない」ことが何よりも辛い罰なのだという。今は、PAQとHSC両クラブ掛け持ちで、毎日学校が終わったらPAQで2時間練習し、その後カイムキのプールに移動し、HSCで2時間計4時間泳いでいる。距離にして1万メートル以上泳いでいることになる。もちろん学生なので家に帰ったら宿題が待っている。それでも「全く疲れないです」というエレナさん。ホリデーシーズンでクラブは休みでも、自主練も欠かさないほど、とにかく泳ぐことが大好き。平日は練習、週末は大会の生活で毎日が忙しく、たまにある休みの日は「何もしない」のだと言う。水泳外の趣味は、ネイルやお菓子つくり。そして、探偵物の本やドラマが大好きで、日本の「サスペンス劇場」シリーズもよく見ているのだそうだ。

 

気持ちの切り替えの天才

 これほど水泳一筋で、泳ぐこと大好きなエレナさんでも、もちろん大会本番「嫌になる」こともあるという。2016年11月の大会では、「出るの辞める!」と言い出すほど極限状態にきていた。両親は、「あなたがそれでいいのなら」とあえて無理矢理出場させようとはさせなかった。ところが、その直後彼女は、パッと気持ちを切り替え出場を決意。そして、その時もバタフライで1位になり、しかも自己最高記録を叩きだしたのだ。一体どうやって気持ちを切り替えたのか?と聞くと、「速く泳げば、その分早く家に帰れる」と思ったのだと言う。

 

悔しさをバネにして、記録を更新

 自分が納得行かない泳ぎをすると毎回悔し泣きをする。そんな時はコーチも両親もあえて何も口を出さず放っておくのだという。エレナさんは、一人になって気持ちの整理をする。そして、そういうことがあった次の大会では必ず記録を更新させるというのだ。つまり、「悔しさをバネにする力」が彼女には備わっている。こればかりは親が言ってどうにかなるものでもなく、反対に両親も感心するほどの、精神力の強さをもっている。確かに、もの静かでありながら、彼女の内から滲み出るエネルギーは、物事に動じない芯の強さを感じさせるものである。  

 また、活躍する競泳選手といえば、スラッと背の高い人を想像すると思うが、エレナさんに会った瞬間、とても小柄なのに驚く。実際大会でも、年齢別で戦うわけだが、同じ歳でも、見上げるほど背の高い選手ばかりが周りに揃う。だから、自分のハンディをわかっている分皆の倍以上のストロークをして泳ぎ、いつも上位入賞を決めるのだ。

 

 

常にベストな自分でいたい

 目標とする選手はいるか尋ねると、「私は常にベストな自分でいられるようにしたいです」という答えが返ってきた。 毎回の大会で、前回より上回る自分でいたい、毎回が「今日がベストな泳ぎだった」と言えるような自分でいたいのだ。その意気込みで毎日の練習をどれだけ真剣に行っているのかが察せるし、また、まるで自分の最大の敵は自分であることを悟っているかのようだ。恥ずかしそうにしてほとんど喋らない彼女だが、時々ポツリと発する言葉は、大人も唸らせるものばかりだ。

 

2020年の東京オリンピックも夢じゃない!

 エレナさんの将来の夢は2つある。一つは「医者」。何科の医者かはまだ決めていないそう。そして、もう一つが「オリンピック選手」。もちろん2020年の東京オリンピックも範疇にはいっている。4年後でもまだ彼女は16歳なので、米国籍と日本国籍両方保持することになり、「日本代表としてでることも可能だね」と冗談まじりに家族で話しているという。   

 そして、12歳になったエレナさんは、いよいよ12歳〜19歳枠で大会に出場できるようになる。今までは小学生の選手の間で誰が速いか、という競争だったのが、今度は自分より年上で、体格も大きい高校生も自分の競争相手となり、「本当の自分の実力」が見られるようになるから、とても楽しみだという。   

 そして、オリンピックの水泳では、年齢制限もなく、とにかく記録が速ければ何歳でも選手になれる。つまり、次のオリンピックでエレナさんが代表になるチャンスは充分ありえるのだ。  

 2020年東京オリンピック、水泳アメリカ代表エレナ・タナカは、ハワイ出身だと皆で自慢できる日が来ると信じて、全力で応援をしていきたい。

インタビューアー: Miki Cabatbat

1 2

関連記事

関連記事はありません。



その他の記事