帯津良一さん特別講演会 死ぬまで元気に生きる知恵

 05/05/2018 : 373 Views

 

これからは攻めの養生、この世とあの世をつなげる発想

 

3年前にホリスティック協会が30周年を迎えた時、私たちは大ホリスティック宣言をしたんです。新大陸を求めて大航海時代を迎えた、そんな大志を掲げてね。ハワイでなら、太平洋の大海原を渡ってハワイ諸島を発見したクック船長のようでしょうかね。よちよち歩きの小ホリスティック時代を脱し、新たな時代の幕開けへと舵を切ったわけです。舵の先には何があるか。私が考える大ホリスティック医学とは、患者さんがたとえ病の中にあっても、その人間としての尊厳を全うすることを治療の本分とすることです。では、人間としての尊厳とは何か。人によって違いはあるが、私自身は生老病死(しょうろうびょうし)を通して、攻めの養生を果たしていくことだと思っています。古い、守りの養生は健康がすべて。ひたすら健康を損なわないようにしよう、そして病を未然に防ぐことばかりに気を取られてきました。だから老いも死も忌み嫌われてきた。死を視野に入れようとしないのです。医学部でも死に関する教育は行われていないし、医者も患者も死をタブー視しています。攻めの養生では、内なる生命のエネルギーを高めていき、死ぬ日を最高に、その勢いを駆って、死後の世界に突入するということです。内なる生命エネルギーを高めるというのは、生命の躍動と言い換えてもいいですね。攻めの養生の推進力は、生命の躍動です。情熱と呼んでも、ときめきと呼んでもいいでしょう。よく生きることはよく死ぬことです。

 

皆さんもどう死にたいか、2つ3つ用意しておくといい

 

死を考えることによって生き方は大きく変わります。折に触れて家族や友人と死について語り合うべきです。ここで大事なことは、この世とあの世をつなげて一つにすることです。どのようにつなげるか、私は映画のラストシーンを思い浮かべたりしますね。『荒野の用心棒』、『カサブランカ』……人生のラストシーンがカッコよく決まると、あの世にも幸せに飛び込んでいける気がしませんか。皆さんもどんなふうに死にたいか2つ3つ考えてみるといい。私は下町の居酒屋かなんかでお酒を飲んで、おいしいものをつまんで、さあ今夜も満足と店を出るときに倒れ死ぬ、というストーリーを描いていたのですが、ある人から「いや、飲み食いの後より、さあこれから旨い酒と肴を喰らおうという高揚感がある時のほうが、つまり店の暖簾をくぐる瞬間のほうが、生命場が躍動してときめいたまま死ねるはずだ」と言われました。確かにね(笑)。まあ私の場合、現実的で確率が最も高いのは、病院で働いている最中でしょうか。病室から病室へ患者さんを診て、廊下に出て、前を若い看護婦さんが歩いていて、あっと思った瞬間に死に時が訪れる。看護婦さんは私の気配に気づいて、センセーと駆け寄り、私は彼女の胸の谷間に抱かれて息絶える。ハグされて死ねる。なんという幸せ(笑)。あの世のことも好きなように夢想してみたらいいんですよ。

 

不摂生でもときめけばいい、私の場合は、朝の気功と夜の晩酌

 

私は現在82歳です。ウエストは98cm、中性脂肪175、尿酸4.7、空腹時血糖113の立派なメタボです。高血圧の薬と痛風の薬も飲んでいます。しかし気功歴45年、気功で動き、仕事で動き、足腰は確か。わだかまりなく、あるがままに生きていますので、老いてもときめきの生命場のエネルギーは高く、充実した日々を送っています。健康法は?と聞かれたら、「朝の気功と夜の晩酌」と即答します。吐く息を意識して呼吸を整えると心身に良い、ということは先ほど話しましたが、食事について。がんの患者さんから、どんな食事をすれば良いかよく聞かれます。我々の病院での食事指導は、管理栄養士で『粗食のすすめ』の著者でもある幕内秀夫さんが担っていました。幕内さんは「フードは風土」だと言います。日本人本来の和食に帰ろうということです。バランス良く、腹八分目でね。私は食べたいものを食べています。高血圧ですが塩辛や昆布の佃煮などが好きなので、それもつまみます。心身が欲するものを喜んで食べることは悪いことじゃない。

 

我慢してたら生命場のエネルギーは上がりませんからね。そして私が最も生命の躍動を感じるのは、お酒を飲んでいる時です。平日の夜は病院で6時半からゆっくり晩酌をやります。たいていホリスティックの女性の医師が一緒に飲んでくれます。7時過ぎには外来の看護婦や栄養科の課長だった女性も合流してくれて、両手に花以上、女性3人を相手に飲むことができる。都内各所、地方にも飲み友達のガールフレンドがいますしね。酒と女性にときめき、呵呵と笑い、ハグして別れる。最高です。最近は「今日が最後だ」と思って生きていますから、毎食が“最後の晩餐”です。もうこれで死ぬんだから何を食べても良いと、ときめきながら食卓につき、ハワイでも大いに食べて飲んで喜んでいます。皆さんもどうか死ぬ日まで、生命場のエネルギーを高める攻めの養生をしてみてください。

 

帯津先生とともにカピオラニ公園で気功をした、ウーマンサポートセンター・オブ・ハワイのカオリさんと、ホノルルファンデーションのヒロコさん(左)

 

 

 

 

 

主催は、「ハワイで、豊かで実りある人生をサポートする」ウーマンサポートセンター・オブ・ハワイと、ホノルルファンデーションの2つのNPOが共同で開催。

 

 

 

(取材・文 奥山夏実)

(日刊サン 2018.05.05)

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