【インタビュー 輝く人】ハノ・ナカ(Hano Naka Inc.)社長/牧師/校長 中林義朗さん

 10/16/2017 : 2067 Views

聖書がいう成功は、神を第一に恐れて生きること。24時間誰も見ていなくても神は見ています。人を恨むようなこと、人を嫉妬する想い、心の中まですべてお見通しなのです。ですから、神を恐れて生きることができるようになると、誰に対しても親切になれ、二心のない生き方ができるようになります。妻が第二、子どもが第三、自分の健康が第四で、そのあとに初めて仕事が第五、そして趣味が第六。これが聖書のいうバランスのとれた生き方なのです。  

今、木曜の朝に私のオフィスでBible Business & Benefitというミーティングをしています。どなたでも歓迎で、教会の敷居が高いと言われる方々も集まっています。皆さん、自分もバランスを取れた生き方を手にしたいという気持ちで、コーヒーを飲みながら、話をしているんです。  

私は妻と毎週日曜の夜にデートをしています。私たちには8人の子どもがいますから、彼女は自分のために食事をする時間がありません。常に何かをしながら、子どもに食べさせたりしていますからね。日曜夜だけは自分のために食べる食事です。そして彼女の話を聞く、「棚卸の時間」で、夫婦の間で棚に上げた問題をなくすためのものです。普段、なかなか話を聞けないで「明日ね」と先延ばしにしていると、棚に上げた問題が増えていって、200問くらいになると雪崩が起きて夫婦間の大問題になります。もともと200問あった問題ですが、先日妻に「あといくつ残っていますか?」と聞くと、「2つ」と応えてくれました。(これは本当に凄いことです。)  

私はこれを実践しながら教えているのです。「人生のバランスの取れた成功をあなたが手にするまで一緒に歩きますよ」と、「自分ができるようになったら、今度はほかの人と一緒に歩ける人になってください」とお話ししています。  

たくさんの経験をしてきましたが、そこには喜びはありませんでした。中国であのまま社長をしていたら、次は自家用ジェット機を持つことでしか満足できず、終わることのない欲望との戦いの毎日になっていたでしょう。

社訓となっている「康楽」の書

 

20年間父を赦せなかった  

現在、8人の子どもと父と私たち夫婦の11人家族で暮らしています。10歳で母が他界したあと、私は横浜の伯母に預けられ、父は大阪に移動して仕事をしていましたから、親子はバラバラになってしまいました。子どもながらにビジネスが忙しいのだから仕方がないという理解はできました。それでも「自分を捨てた」という思いが心の奥底にはあり、20年間それを引きずっていましたね。  

あるとき、20人くらいの会合があって、そこで話をしなくてはならなかったのですが、仕事柄話をする機会も多く、話をするのは好きだったにもかかわらず、言葉が出てこなくなって話ができなかったのです。自分でもなぜなのかわかりませんでした。  

後に、牧師先生に「もしかしたらあなたは赦せない人がいるのでは?」と聞かれました。考えもしないことでしたが、言われてみれば、やはり父が赦せなかったのです。  

クリスチャンになって、父を赦しなさいという教えを受けたことが私の人生の大きな転機です。37~8歳のときでした。それまでは生涯一緒に住むことはないだろうと思っていました。でも、父は事業がうまくいかなくなって、一人で暮らしていて、弱ってきていました。私は父のすべてを赦し、私が市民権をとって「1人なんだから日本からハワイに来て孫たちと一緒に住まないか」と心から言いました。  

すっかり病弱になって杖をついて歩いていた父ですが、今は元気ですよ。今年80歳になるのですが、父を見ていると病は気からなんだということがよくわかりました。希望がない、愛がない、一人ぼっち。孤独は人間にとって一番よくないことなのでしょうね。大家族ですから、「狭いアパートでごめんね」と父に言ったら「何言ってるんだ。天国だぞ」と言われました。父は毎週日曜の夜、妻と私のデートのときに子どもたちに食事を作ってくれていますよ。  

私がクリスチャンになったことによって私自身が変わっただけでなく、家族も生きたのです。「神は私たちに耐えられない試練を与えず、脱出の道をも用意して下さる」とのお言葉通り、家を出なくてはならなかったときには、神様が私たちを快く受け入れてくれる家族を備えて下さり。また、父を呼び寄せる際グリーンカード取得に必要だったスポンサーも、神様が備えて下さいました。

 

8人の子どもの教育はホームスクーリング

8人の子どもたち

 

わが家には8人の子どもがいますが、学校に行っていません。ホームスクーリングで、自宅で勉強を教えています。アメリカは全国にホームスクーリングのアソシエーションがあって、何百万人もの生徒がメンバーになっています。インターネットにもカリキュラムがあったり、先生がいたり、教科書も数多くあります。年1回、プレイスメントテストという全国学力テストにパスすることで、高校を卒業するまでホームスクーリングが義務教育の一貫として国から認められているのです。  

私は算数と体育、社会奉仕を担当して、ほかは妻が教えています。毎朝2時間は私が子どもたちに勉強を教える時間です。8人いるから大変ですよ。子どもたちは教科書とノートを持って列を作っているので、「はい次、次!」と言いながら順番に教えています。  

母国語とは母の国の言葉であり、ハワイアンの妻を持つ我家は英語で教育をすると決めています。でも算数だけは九九を覚えさせたので「さざんがく、ししじゅうろく」などとやっているからおもしろいですよ(笑)。  

ホームスクーリングで教育をすることにしたのは、聖書をベースに教育をしたいからです。私たちはそれぞれに違うタレントが与えられています。ホームスクーリングの目的はそのタレントを見極めて磨くこと。不得意なことはそれでいい、得意なところを伸ばしてあげるという教育です。8人の子どもも大きく分けると2つのタイプに分かれます。例えば、ステージの前に出て賛美をしたり、マイクを持って歌ったり、ピアノやギターを弾いたりするのが好きなタイプと、後ろで音響や照明、録音などをしたいタイプがいます。そういう中で育つと自分がどちらのタイプがすぐにわかりますし、その見極めが親に課せられた責任で、後は磨いて上げるのです。

 

会社のモットーは健康と喜びを提供すること

3年前、47歳のときにInternational Japanese Christian Churchのビジネス牧師に就任しました。これまで人生を歩いてきて、何かが違うといつも思っていたのですが、イエス様と出会って今はとてもすっきりしています。生きる優先順位がはっきりしたことで、ラジオに出ても、インタビューでも、どんなときでも話ができるようになりました。  

ビジネスは、確かにお金も大切ですが、お金儲けが目的になってはいけません。聖書には「お金が悪いのではなく、お金を愛する心が悪い」と書かれています。どんな世の中であっても人が求めているものを提供した人がその時代の成功者となるのです。私の会社は、人が求めているものを提供しいていく会社です。オフィスには「康楽(こうらく)」という書が掲げてあります。これは1995年に中国にいたときに、ある書道家が書いてくれたものです。あのときから「あなたは健康と楽しさを提供する日が来る」ということだったのかもしれません。ずっと倉庫にしまってあったこの言葉を、ショールームをオープンしたときに掲げて、「人に健康と喜びを提供する」が会社のモットーになりました。もちろん、本当の喜びはバランスのとれた『成幸』から生まれてくるのです。  

不思議なことに、家族への時間を費やせば費やすほど売上があがって、逆に売上を追いかけはじめると売上は下がるんです。ハハハ。  

人生の本当の成功とは、バランスの取れた優先順位を追い求めることによって、与えられるものであると信じています。これからも、100%牧師、100%ホームスクーリング校長、100%経営者、でいきたいと思います。  

私の大好きな聖書の言葉 「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。全ての事について感謝しなさい。」

 

<父・中林栄(なかばやし・さかえ)さん インタビュー>

洋服の直しをする実父、栄さん

 

日本では約10年間独りで暮らしていて、その時は仕事もなく、健康も害していました。60代は70歳まで生きられるかと思いながら過ごしていました。ところが、息子からハワイで暮らさないかと言われ、まずは3カ月間だけ、彼の家族と生活をしてみたら、そこには驚きがありました。クリスチャンである家族全員が本当に幸せそうだったのです。それで、ハワイに移住することを決めました。

ハワイに来て、クリスチャンになって人生が変わりました。人のために生きたいと思うようになり、心身ともに健康になりました。ハワイは気候も良くて、孫たちに囲まれての生活はとても幸せです。今年80歳ですが、このままではいつまでも生きられそうですよ(笑)。もともとテイラーでしたし、手先を使うことが好きで、ハワイに来てからは額縁を作っていました。今は息子のショールームの一角で衣服の直しをしています。最近は仕立ての注文も来るようになりました。こうして好きなことをすることで人のためになれる。こういうことをずっと続けていきたいです。

 

ライター:大沢 陽子(日刊サン 2014. 2. 22)

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