ハワイで快適生活 役立つ建築情報 No.26【特別区域について(6)パンチボウル編】

 09/09/2017 : 363 Views

ここ数週間に渡り、特別区域(Special Districts)についてご紹介しております。特別区域とは都市計画の一環です。利用者にとって快適かつ便利な街並みを推奨したり、歴史や文化を継承させたり、色やデザインについて制限をかけ、街全体に統一感を出したりすることで街全体の価値をあげることを目的としています。ハワイには8つの特別区域が制定されており、今回はパンチボウル地区についてお話しさせていただきます。

 

パンチボウル特別区域  

行かれたことのある方も多いかと思いますが、パンチボウルは国立太平洋記念墓地として、ホノルルの観光名所の一つです。広大なクレーター内が国立墓地となっており、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争などで戦死した3万人以上の兵士が安らか眠っています。この特別区域は、今現在持っている特徴・雰囲気を維持することを目的としています。自然溢れる近隣を守り、パンチボウルからの景観、またはパンチボウルへの景観を損なうようなことを規制しています。

 

建物の向きや高さに対する制限  

近隣の主要道路からパンチボウルがよく見えるように、また、パンチボウルから遠くまで見晴らせるように、建物が視界を遮らないよう配慮し、パンチボウルを海側から見たときに、その視線と平行な向きにする必要があります。

また、主要な道路からパンチボウルがキレイに見えるように建物の高さ制限も斜めにひかれています。高台になっているProspect St沿いは40 feetの高さまでしか建てることができず、それより下の方だともう少し高くまで建設することが許されています。  

このように特定の景観を守るための高さ制限というのは、実は非常に珍しいことなのです。ただ、こちらの規制が発令したのは大分遅く、すでにパンチボウル付近には高層の建物が建ってしまっているのがとても残念ですね。それらの既存の建物は当然取り壊すわけにはいかないので現状維持を許されていますが、今後同規模の建物に建て直すことは許可されません。よって、建物の耐用年数が超える数十年後、パンチボウルの景観がどのように改善していくのか楽しみですね。

 

(日刊サン 2016/5/11)

 

 

 

鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

Email: takao@focuslabo.com

明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。


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