適量を美味しく飲んで健康に! ビール・ワイン・日本酒の有効成分と健康効果

 06/02/2017 : 953 Views

「酒は百薬の長」という言葉がありますが、これは「適量の酒は、どんな薬よりも健康のためによい」という意味で、西暦80年ごろの中国の史書『漢書』の「食貨志」に記されている故事です。この言葉の通り、近年、適量のお酒は、私たちの体に様々なよい影響を与えることが分かってきています。今回の特集では、ビール、ワイン、日本酒にスポットを当てて、それぞれに含まれる有効成分と健康効果をご紹介します。

 

ビール  

紀元前4000年にメソポタミアが起源とされ、人々に親しまれているビールは、麦、ホップ、水を原料として作られます。まず、収穫した麦を洗って水に浸し、発芽させて「麦芽」を作り、焙煎します。焙煎した麦芽をサイロに入れ、1ヶ月ほど熟成させた後、麦芽を砕き、温水を加えます。こうすると、麦芽の酵素がデンプンを糖に変え、糖化した液体になります。この液体をろ過してホップを加え、煮沸した後、5℃くらいに冷まして酵母を加え、タンクに入れて発酵させます。7〜8日間発酵させると、酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスに分解します。これをタンクに移し、0℃の低温に保ちながら数十日間かけて熟成させます。こうして作られたビールには、カルシウム、ビタミンB群、葉酸、鉄分、タンパク質など、私たちの美容や健康に良い様々な成分が含まれています。

 

<有効成分と美容・健康効果>

疲労回復・ダイエット  

ビール酵母にはビタミンB群が豊富に含まれています。ビタミンB1は、体内の代謝の過程で補酵素として働き、ビールに含まれる炭水化物を素早くエネルギー化するため、疲労回復効果が期待できます。ビタミンB2は、脂質の燃焼を助けることで新陳代謝を促すため、ダイエットに効果的と言われています。

 

抗酸化作用

抗酸化作用とは、有害な活性酸素から体を守る働きのことを言います。ビールのホップには、抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれています。KIRINの「ビールの抗酸化作用に関する研究ノート」によると、ラットを用いた研究で、ビールの抗酸化活性は赤ワインと同程度であるというデータが得られたということです。ポリフェノールの抗酸化作用は、老化を遅らせたり、動脈硬化を予防すると言われています。

 

骨を強くする  

2010年、カリフォルニア大学の研究グループが、ビールには骨を強くしたり、骨粗しょう症などの予防が期待できる「ケイ素」を多く含むという研究結果を発表しました。この研究では、ビールの種類によって、1ℓ当たりに含まれるケイ素の量は6.4〜56.5mgと差があり、最も含有量が高いのは大麦麦芽とホップを多く含むペールエールで、含有量が低いのは小麦ビールやノンアルコールビールということも証明されています。

 

美肌や美髪  

ケイ素は「ケイ酸塩」として骨、皮膚、髪、爪、血管、細胞壁など、私たちの体のいろいろな部位に含まれています。体内にあるケイ素は、肌の保湿や、髪、爪、コラーゲンの再生などを促します。また、皮膚の弾力を保つエラスチンと、潤いを保つヒアルロン酸を結んで肌を強く健やかに保つ働きがあります。

 

動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中の予防  

2013年、ギリシャのパロコピオ大学のカリオピ・カラツィ氏は『Nutrition電子版』に「ビールは、動脈硬化予防に対して有益な効果がある」という旨の研究結果を発表しました。健康な非喫煙者の被験者に、約400mlのビールを飲んだ2時間後に血流がよくなり、動脈が柔軟になったということです。カラツィ氏は「ビールに含まれるアルコールと抗酸化物質の相乗効果によって動脈機能が向上したようだ」と述べました。この研究結果は、適量のビールは、動脈硬化やそれに起因する心筋梗塞、脳卒中の予防につながる可能性が高いことを示しています。

 

胆石の予防  

私たちの体内にある老廃物は「胆汁」となって体外に排出されますが、その排出路になるのが胆管や胆嚢です。胆石は胆汁の成分が石状になったもので、これが胆管や胆嚢を詰まらせてしまいます。ビールは、浸透圧が人間の体液に近く、高い利尿作用があるため、胆石を押し流す効果があると考えられています。

 

【ビール豆知識】

ビールに使われるホップは、アサ科カラハナソウ属のつる性植物で、株が雄と雌に別れています。ビールの醸造に使われるのは受精していない雌株の花です。ホップには、ビールに苦味と香りを加えたり、泡持ちをよくしたり、タンパク質を沈殿させてビールの透明度を保つ働きがあります。

 

brewing-japan.com

 

ワイン

ワインは、成熟して糖度が高まったブドウの果実が原料です。秋に収穫され、軸が取り除かれた後、果汁を搾り、皮、種と共にタンクに入れて発酵させます。発酵した後、圧搾機にかけて皮と種を除き、樽に詰めて熟成させます。熟成の過程では「澱(おり)」と呼ばれる沈殿物を取り除く作業が何度か行われます。熟成を終えたワインは、不純物を取り除くために濾過され、瓶に詰められます。ロゼワインは発酵の途中で、それぞれ皮と種が取り除かれて作られます。こうして作られたワインには、ブドウに含まれるビタミン、ミネラル、ポリフェノールなど多くの有効成分が含まれています。また、普通の食べ物からの栄養成分の吸収率が平均35%であるのに対し、ワインからの吸収率はほぼ100%と言われています。これらのことを実践的に知っていた古代エジプト人は、ワインを嗜好品として飲むだけでなく、内臓の薬としても処方していました。

 

 

<有効成分と美容・健康効果>

【白ワイン】

高血圧予防・むくみ防止  

白ワインには、過剰に摂取したナトリウム(塩の成分の一部)の排出を促すカリウムが多く含まれるため、血圧を下げる働きがあります。また、カリウムには利尿作用もあるため、むくみ防止の効果も期待できます。

 

抗菌効果  

白ワインに含まれるオレイン酸、リノール酸などの有機酸は、大腸菌、ピロリ菌、サルモネラ菌に対して高い抗菌力があります。フランスでは、昔から生牡蠣と一緒にシャブリなどの白ワインを飲む習慣がありますが、これは白ワインが牡蠣の生臭さを消して味を高めるということの他に、食中毒を防ぐ効果があるためです。10万個のサルモネラ菌を白ワインに10分浸けると、全滅するという研究結果もあります。

 

【赤ワイン】

 抗酸化作用  

赤ワインの健康効果といえばポリフェノールの抗酸化作用を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。黒ブドウ果実の皮、実、種を発酵させて作られる赤ワインは、白ワインよりもポリフェノールの含有率が高くなっています。赤ワインに含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロール、プロアントシアニジンには、特に高い抗酸化作用があります。

 

貧血予防  

赤ワインに含まれるミネラルの一種、モリブデンは造血を促し、貧血を予防する効果があると言われています。モリブデンは、豆類にも多く含まれる成分です。 代謝促進・肌の健康維持  赤ワインには、水溶性ビタミンの一種、ビオチン(ビタミンH)が含まれます。ビオチンは炭水化物、資質、タンパク質の代謝を促す働きがあります。また、皮膚の痒みや荒れを引き起こすヒスタミンの生成を抑制するので、アトピー性皮膚炎などの改善にも効果が期待できます。ビオチンは、レバーにも多く含まれる成分です。

 

脳細胞の活性化  

赤ワインに含まれるマグネシウムは、人の体の細胞全てに存在し、300種類以上の酵素の働きを助け、代謝を促しています。マグネシウムが脳のエネルギーとなるブドウ糖の代謝を促進することで、脳細胞が活性化すると考えられています。

 

【スパークリングワイン】  

スパークリングワインは、醸造した白ワインに糖分と酵母を加え、瓶やタンクに入れて二次発酵させるというものです。含まれる有効成分や殺菌効果は基本的に白ワインと同じですが、酵母と接する時間が長いスパークリングワインは、白ワインよりもアミノ酸が多く含まれています。

 

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