納豆、味噌、キムチなど、発酵食品の雑学と健康効果

 12/03/2017 : 175 Views

日本で古来から親しまれている発酵食品には数多くの健康効果があります。日本の平均寿命が香港に次いで世界で2番目に長い理由のひとつに、発酵食品をよく食べることがあると言われています。

 

発酵食品とは

 もともと「発酵」とは、酵母菌が糖をアルコールと二酸化炭素に分解する過程を意味していました。現在は、人の食べ物や飲み物によい変化をもたらす微生物が、食材に起こす作用を「発酵」と総称します。  

 発酵食品の特徴は、微生物の作用によって、材料となる食材にはない微妙な風味が作られることにあります。発酵に使われる微生物は、酵母、カビ、細菌があり、1つだけ使うこともあれば、これらを組み合わせることもあります。発酵にはさまざまな種類があり、微生物が独自の物質を作ったり、素の食品を分解するなどして、食材を美味しく変化させます。こうしてできた食べ物が「発酵食品」です。  

 また、食材を発酵させた後で熟成をする過程を経て作られた醤油や味噌などの食べ物は、「醸造品」とも呼ばれます。 

 

<MEMO>世界史上初の発酵食品

 ワインは、世界史上初の発酵食品です。ワインの素となるブドウの原種は300万年前から、糖をアルコールに分解する酵母は数億年前から地球に存在していました。ワインが登場する最古の文献は、今からおよそ6000年前、メソポタミア文明の頃に書かれた『ギルガメッシュ叙事詩』です。その中には「大洪水に備えて船を建造した際、水夫にワインを振る舞った」ということが記されています。またアルメニア南部の洞窟では、6100年前に使われていた世界最古のワイン醸造所跡が見つかっています。4000〜5000年前の古代エジプトでも、足踏み式の圧搾機と素焼きの壺を用いてワインが作られ、上流階級の人々に飲まれていました。

ブドウの収穫とワイン造りを描いた古代エジプトの壁画

 

主な発酵食品

納豆

【健康効果】

①血栓を溶解:納豆特有の酵素、ナットウキナーゼが血栓を溶かします。

②殺菌作用:病原性大腸菌O-157などに対する抗菌作用があります。

③整腸作用:胃酸におかされず、腸まで生きたまま届く納豆菌(プロバイオティクス)には、優れた整腸作用があります。これは江戸時代から知られていたようで、1697年に発行された本草書『本朝食鑑』には「腹中をととのえて食を進め、毒を解す」と記されています。

④骨の形成を促進:納豆に大量に含まれるビタミンK2が骨の形成を、ポリグルタミン酸がカルシウムの吸収を促進します。

 

【由来と歴史】  

 私たちが食べている「糸引き納豆」は、大豆を煮たものに納豆菌の発酵作用が加わってできるものです。納豆は弥生時代(紀元前10世紀〜紀元後3世紀)から食べられていました。弥生時代の竪穴式住居の床は、一段掘り下げられたところに藁が敷かれており、家の中心に炉があったので納豆菌の繁殖にちょうどよい温度と湿度でした。その環境下で、弥生人が煮た大豆を家の床に置いておいたところ、偶然納豆ができたのが始まりではないかと考えられています。  

 納豆が日本史上初めて文献に登場するのは、平安時代中期の学者、藤原妙衡(ふじわらのあきひら989〜1066)が記した『新猿楽記』の中の「精進物、春、塩辛納豆」というくだりです。『本朝食鑑』には、お寺の倉庫、納所(なっしょ)で精進料理として作られていたことが「納豆」という名前の由来ではないかと記されています。

藁に包まれた納豆(wikipedia.org)

 

醤油

【健康効果】

①血圧の上昇を抑制:醤油に含まれるアミノ酸の一種「ニコチアナミン」が、血圧を上げる酵素を阻害して血圧の上昇を抑えます。また、大豆が発酵、熟成する過程で生まれるアミノ化合物「メラノイジン」にも血圧効果作用があることが分かっています。

②食後の血糖値の上昇を抑制:メラノイジンは、コレステロール値を下げ、食後の血糖値の上昇を抑えるといわれています。

③抗酸化作用:酵母菌が作る醤油の香り成分には、抗酸化作用があると考えられています。

④整腸効果:植物性乳酸菌が生きたまま腸まで届き、整腸を促します。

⑤その他:他にも、動脈硬化の抑制、花粉症改善、菌の繁殖を抑える効果などがあるといわれています。

 

【醤油の塩分濃度】  

 食塩1g中に含まれる塩分1gと比較すると、一般的な醤油1g中に含まれる塩分は約0.14gです。意外と低い塩分濃度ですが、摂りすぎにはご注意を。

 

【由来と歴史】  

 日本の醤油の起源は、古代中国で食べられていた舐め味噌の一種「醤(ひしお)」、そして弥生時代から作られていた肉醤、魚醤、草醤などの塩漬けの食品と言われています。醤が登場する日本最古の文献は701年(飛鳥時代後期)に制定された『大宝律令』で、その中に「主醤」という醬を管理する官職の名が記されています。927年(平安時代中期)に公布された格式『延喜式』には「大豆3石」から「醤1石5斗」が作られると記されていることから、この時代の京都では既に醤が製造、販売されていたと見られています。同じ時代に作られた辞書『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』の「醤」の項では、豆を使って作る「豆醢(醤)」について解説されています。

(wikipedia.org)

 

味噌

【健康効果】

①更年期障害の症状緩和:味噌、納豆、醤油などに含まれる大豆イソフラボンには、更年期障害や骨粗鬆症の症状緩和や、乳がん、前立腺癌の予防に効果があると言われています。

②がんの予防:味噌の発酵でつくられる脂肪酸エチルという成分は、がんの原因となる「変異原」の活動を抑制するとされています。1981年のがん学会の調査では、味噌汁を常食する人は通常よりも胃がん死亡率が低いという結果が出ています。また、昨今の動物実験では、味噌ががん細胞を抑制することが確認されており、味噌の熟成度が高いほど抑制効果が高いということが分かりました。

③抗酸化作用:味噌が熟成するときに作られる褐色色素の「メラノイジン」に抗酸化作用があり、色が濃いほど効果が高いと言われています。

④美肌効果:2013年に行われたマルコメと東京工科大学応用生物学部美科学研究室の共同研究では、20〜30代の女性グループが、味噌汁を1日3杯、2週間飲み続けた結果、飲み始める前に比べて肌の角質の水分量が増加し、きめ細やかになったという結果が出ています。

⑤血圧の上昇を抑制:味噌に含まれる大豆タンパクは、血圧の上昇を抑制すると言われています。

 

【赤味噌と白味噌の違い】

 味噌の褐色は、発酵するときに大豆、麹、糖分などが起こす「メイラード反応」によって作られたメラノイジンによるものです。色の濃い赤味噌は、よく蒸した大豆を多く使い、高温で長い間熟成させたもので、塩辛くコクがあります。色の薄い白味噌は、茹でた大豆を精白米やメイラード反応が起こりにくい種類の麹と合わせ、短い間熟成させたもので、麹の糖分が残っているため、甘味があります。

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