世界最古の調味料 「酢」のパワー

 02/23/2018 : 1011 Views

英語で酢を意味す「vinegar」の語源は、フランス語の「vinaigre(ビネーグル)」で、「vin(ワイン)」+「auger(酸っぱい)」の複合語です。私たちの食生活に欠かせない酢は、塩と同様、はるか昔から人類に親しまれてきた、世界で最も古い調味料の1つです。今回の健康特集では、起源や歴史などと共に、酢の健康効果や種類などをご紹介したいと思います。

 

酢の歴史

「酢」と「酒」は酒器の造形文字「酉」の部首を持っています。酢と酒の関係は深く、世界最初の酢は、紀元前5000年頃、中東の 古代バビロニアで、醸造した酒に「酢酸菌」が自然に付着し、発酵してできたものと言われています。古代バビロニア人は、ナツメヤシ、干しぶどう、ワイン、ビールなどから酢を造り、ピクルスを漬けるなどの調味料として使用していました。また古代ローマ(紀元前753〜476年)では、酢を水で割り、ハーブで香りを付けた「ポスカ」という飲み物が飲まれていました。

日本には、古墳時代に中国から伝わりました。大昔ですねえ。宮内省の造酒司(みきのつかさ)では、酒、甘酒と共に酢が造られ、ピクルスのような酢漬けや酢の物の調味に使われていました。江戸時代には、酒粕が原料の粕酢(かすず)、米、麹を原料とする米酢が造られるようになりました。

※記事後半の「リンゴ酢を使った飲み物」で、ポスカの作り方を紹介します。

 

製法と成分

昔ながらの【オルレアン製法】

オルレアン製法は、自然の酢酸菌が付いている樫(かし)の木のワイン樽に空間を残すようにしてワインを入れて3週間ほど自然発酵させ、その後大きな樽に移して半年以上熟成させるというものです。最初の樽の酢は、大樽に入れる時に少し残るようにし、新しくワインを注ぎ足して再び発酵させます。

この製法は、中世ヨーロッパ時代、フランス中部の都市、オルレアンにある川沿いの港で、パリに運ばれるはずだったワインが手違いで数週間放置され、自然に酸化して酢になったというエピソードに由来します。現代の製法に比べると、空気に触れる部分が少ないために発酵と熟成に時間が掛かりますが、香り豊かでフルーティな酸味のある酢ができあがります。

現在、このオルレアン製法で酢を作っているのは、オルレアンにある「マルタン・プーレ」という老舗の酢製造所のみと言われています。

 

MEMO

17世紀のフランスでは、床にブドウの蔓を敷き、そこにワインをかけて酢を作ることもありました。

 

【滴下方式】

表面に小さな穴がたくさん空いている多孔質の素材に酢酸菌を付け、そこにワインを繰り返し注ぐことで効率よく酢酸菌を働かせるという製法です。17世紀のフランスで、植物学社のヘルマン・ブールハーフェ(1668〜1738)が考案しました。

 

【液中培養方式】

攪拌して空気を入れた醸造酒に酢酸菌を入れて発酵を促す製法です。滴下方式の後に考案されました。

 

現代の製法

現代では、穀物、果実などに酵母を入れてアルコール発酵させ、酢の原料となる醪(もろみ)を造り、そこに酢酸菌を加えるという製法が一般的です。19世紀のフランスで、細菌学者のルイ・パスツール(1822〜1895)が考案した製法で、現代の工業生産方式に応用されています。

 

ルイ・パスツール (wikipedia.org)

 

●酢の成分

酢の主成分は、酸味の素となる酢酸、クエン酸、アミノ酸、グルコン酸、りんご酸、酒石(しゅせき)酸などの有機酸です。

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