ミネラル豊富な青い泉 海水と海がもたらす健康効果

 10/01/2017 : 1846 Views

エウリピデスは、ギリシャ三大悲劇詩人の一人。代表作は『メディア』。 (wikipedia.org)

 

海水浴の習慣が始まったのは、18世紀のヨーロッパ。世界で最も古い海水浴場は、現在もイングランド東海岸でリゾート地として栄えている、スカーバラ・ビーチといわれています。

スカーバラ・ビーチ (wikipedia.org/wiki/Scarborough,_North_Yorkshire)

 

療養所としての海水浴場  

1754年、イギリス人医師のリチャード・ラッセルは、ロンドンの南にあるブライトンの海岸に海水浴場を開きました。この海水浴場は、今日のようなレジャー目的ではなく、訪れた人々が病後の療養や健康の増進、回復を図る「海水療法療養所」でした。  

ラッセルは、ミネラル分を含んだ海水には、皮膚を洗浄して新陳代謝を促進させたり、自律神経を整えるといった効能や効果があると考えていました。また、1767年にはイギリス海峡に面した港町ディエップにフランス初の海水浴場が開かれ、1793年にはドイツの皇帝フリードリッヒ1世が、バルト海沿岸のハイリゲンダムに、上流階級の人々の社交の場として海水浴場を開設しました。ハイリゲンダムは、現在もドイツ最古の海岸リゾート地として栄えています。

 

日本の潮湯治  

日本では、鎌倉時代頃から「潮湯治」と呼ばれる療養やお清めを目的とした海水浴がありました。潮湯治は、神話に登場する男神、イザナギノミコトが黄泉の国から戻って来た時、その穢れを落とすため「筑紫の日向の小戸の橘の檍原(あはきはら)」の海水で体を清め禊を行ったことが起源とされています。

 

日本初の海水浴場の開設  

江戸末期、徳川家茂・徳川慶喜の侍医だった松本良順(1832〜1907)は、オランダ軍人が蘭方医学や航海術などを教える「長崎海軍伝習所」へ入所しました。そこで、オランダ人医師ポンペから医学を学んでいましたが、その中で、海底に刺した棒につかまって海水に浸かり、健康増進を図るという医療法を知りました。

松本良順は、新撰局長の近藤勇とも親交があった。(wikipedia.org)  

 

明治時代に入り、良順は初代陸軍軍医総監となりました。退官後、彼は、長崎海軍伝習所で得た知識を元に療養目的の海水浴場を作ろうと思い立ち、それに適した海岸を方々探して回りました。そして1885年、神奈川県の大磯に療養施設として旅館を建て、日本初の海水浴場を開設しました。  

大磯海水浴場には、良順の知古である政界の要人たちを始めとした上流階級の人々が多く訪れました。その後、庶民向けの旅館などが建設されるなどし、海水浴は広く認知されていきました。

「尾張名所図会 尾張大野潮湯治の図」1844年(江戸時代) 尾張大野は、現在の愛知県常滑市。

 

海水の雑学

海洋深層水とは?

海洋深層水(Deep Ocean Water)とは、水深が200mよりも深く、太陽光が届かない深海部の海水のことです。地球上にある水の約90%を占め、広い範囲に渡って周回しています。海洋深層水の周回ルートは、北大西洋グリーンランド沖から、北米大陸、南米大陸に沿って南下し、南極海で南極底層水と合流後、ニュージーランドから赤道を通り、北太平洋へ北上するというものです。このルートを1巡するには、約2000年もの年月を要します。  

海洋深層水は、温度が低いこと、また海水中の植物プランクトンによる光合成が行われないことで、ケイ酸塩やリン酸塩など「栄養塩類」と呼ばれるミネラル分が多く含まれると共に、病原菌や環境ホルモンなどの有害物質がほとんど含まれません。そのため、医療や食品、水産など様々な分野での活用が期待されています。

 

酸素を作る海  

地球の酸素の約70%は、海が作り出しています。水深70〜80mまでの海中にいる植物プランクトンや海藻が、水と二酸化炭素を取り入れて太陽の光に当たることで光合成を行ない、酸素が作られています。

 

にがりとは?

@shutterstock

 

「にがり」とは、海水から塩を作るときにできる最後に残った液体のことです。塩化マグネシウムを主成分とし、塩化カリウム、塩化カルシウム、亜鉛など、60種類以上の海洋ミネラルが含まれています。にがりは、主に豆乳から豆腐を作るときの凝固剤として使われます。また、にがりを数滴加えることで、コーヒーやお茶、飲料水の味をまろやかにしたり、米をふっくらと炊いたり、煮物の灰汁を取ったり、野菜の煮崩れを防いだり、肉を柔らかくしたりなど、様々な用途があります。

 

(日刊サン 2017. 9. 26)

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