【健やかな心身を保つ】瞑想の効果と実践方法

 10/20/2017 : 81 Views

瞑想とは、心を深く静かに保ち、想いを巡らせたり、心身を静寂な状態に持っていくことです。何か1つの対象に心を定め精神集中を深めていく方法、対象は決めず、心に浮かぶさまざまなことを客観的に観察するといった方法があります。

瞑想の発祥は、紀元前のインドといわれています。インドの瞑想は、山や森などの自然に入り、樹木の下などに座って瞑想をするという修行のひとつで、現在もジャイナ教、バラモン教、ヒンドゥー教、仏教など、各宗教で実践されています。永らく精神世界のみにあった瞑想ですが、1960年代に、アメリカ、ヨーロッパを中心とした世界中の科学者や心理学者が、瞑想に関する研究や実験を開始して以来、私たちの心身によい影響をもたらす瞑想の効果が具体的に証明されていきました。現在では、瞑想は自己啓発法や代替医療などとしても注目されています。  

今回の特集では、瞑想の歴史や概念をたどりながら、具体的な効果や実践方法などをご紹介したいと思います。

 

瞑想で得られる効果

人間は、1日の活動を通して脳全体のさまざまな部分を使いますが、一度に使う割合は脳の10〜25%と考えられています。一方で、瞑想と脳活動の因果関係を調べる研究や実験では、瞑想をすると脳の神経伝達物質や血流に変化が起こり、一度に使う脳の割合が増加し、学習能力、記憶力、集中力が増したり、幸福感を得られやすくなる可能性が指摘されています。

 

理性を保ち、不安や焦燥感を抑える  

 

1990年代前半、アメリカの脳神経科学者アンドリュー・ニューバーグが、人間が祈りによる深い瞑想状態にある時、脳が総体的にどのような変化を見せるかという実験を行いました。その実験では、普通の状態と比べ、次のような変化が現れました。

 

●脳の頭頂葉の活動が部分的に抑えられ、血流が少なくなった。

➡︎頭頂葉は、圧力、温度、触覚、痛覚など身体が受けた感覚を認識する働きがあります。そのため、深い瞑想状態においては、身体が感じたことを脳が認識する働きが抑えられ、よりリラックスした状態にあるといえます。

 

●脳中のセロトニンとメラトニンの濃度が上がった。

➡︎セロトニンとは神経伝達物質の1つで、ドーパミンやノルアドレナリンを抑えて理性を保つ、ストレスを抑制する、痛みを抑えるなどの働きがあります。人間の体内にあるセロトニンは、90%が小腸の粘膜に、8%が血液中に、2%は脳内にあり、このわずか2%のセロトニンが私たちの精神面に大きな影響を及ぼしていると考えられています。また、セロトニンから作られるメラトニンは、夜間に脳の松果体というところから分泌されるホルモンです。神経を覚醒から睡眠へと切り替える働きがあり、良質な睡眠を促して体内時計を整えます。

 

●脳中のコルチゾールとアドレナリン濃度が下がった。

➡︎コルチゾールは、腎臓の頭頂部にある副腎皮質から分泌されるホルモンで、血糖値の極端な低下などを防ぐ一方、長期間にわたって分泌が多すぎると、記憶力の低下や脳細胞の減少、無気力、不眠などの悪影響を及ぼします。アドレナリンは、脳の神経細胞と副腎髄質から分泌されるホルモンで、交感神経を活発化します。筋力や酸素の運搬能力などを上げる働きがありますが、ストレスを感じると扁桃体から大量のアドレナリンが分泌され、不安や焦燥感が増したり、自律神経のバランスが崩れたりします。このことから、瞑想の実践には、記憶力の低下や脳細胞の減少を防ぐ、不安・焦燥感を抑えるといった効果が期待されます。

 

創造性や情報処理能力を高める  

2000年代後半、アメリカのウィスコンシン大学で、同年代のチベット仏教僧16人の頭部にセンサーを付け、「fMRI」という脳活動における血流動態反応を画像化するスキャナーを使い、瞑想中の脳の動きを観察するという実験が行われました。被験者のうち1人は、1万回以上もの瞑想を重ねているベテランで、その他の被験者は瞑想を始めてから2週間の初心者でした。実験では、ベテランと初心者の間に差はあるものの、瞑想をしない一般の同年代の人々の脳活動と比べ、以下のような結果が得られました。

●脳の最高中枢といわれ、人間らしい思考や創造性を司る「前頭前野」の活動が活発になった。

 

●大脳の別々の部分で認知された脳内情報を処理、統合し、会話などをスムーズに行う「ガンマ波」が大量に発生した。

 

瞑想の姿勢と呼吸

【姿勢】  

瞑想では、座る、立つ、歩く、横になるといった姿勢があります。リラックスした状態を最も長く保てる姿勢を選ぶのがよいといわれていますが、ここでは、最も一般的な座った姿勢についてご説明したいと思います。瞑想における座った姿勢は「毘廬七支坐法(びるしちしざほう)」と呼ばれ、以下のように定義されています。

 

①背筋は矢のように真っ直ぐに伸ばす。

②足は蓮華座に組む。

③肩の力を抜きながら、ハゲワシのように高く引くようにする。

④顎は少し引く。

⑤目は閉じるか、視線を虚空におく。

⑥舌は口蓋に付ける。

⑦口は少しだけ開いて、歯を噛みしめない。

 

【呼吸】  

瞑想では、深く呼吸をする腹式呼吸を行います。

①丹田を意識しながら、ゆっくりと3回、深呼吸をする。鼻で息を吸い、吐くときは鼻、口、もしくは両方で吐く。吐く息は、吸う息よりも細く長くする。

②自然な呼吸に戻し、鼻、喉、肺、腹など、空気が流れる部分を意識する。

③吸う息と吐く息の間を意識する。

 

<MEMO>

人間が呼吸で得る酸素の約20%は脳で使われています。

 

いろいろな瞑想

ヨーガの瞑想  

『ヨーガ・スートラ』とは、瞑想の哲学や技法を記したヨーガ学派の経典です。紀元前4〜5世紀頃、パタンジャリという文 法学者が、インド哲学の学派の一派である「サーンキヤ学派」の理論を参考に「ヨーガ」と呼ばれる瞑想の技法を確立しました。「スートラ」は「糸」という意味で、『ヨーガ・スートラ』には、パタンジャリが説いた短い言葉を、糸のように束ねたという意味があります。  ヨーガ・スートラは、瞑想について「長時間にわたり、自らの内にある意識をある一点に集中させることで、精神を深いところへ導く。精神集中が最深部にある状態は究極の知恵に転化する」と説いています。

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