Wine at home vol.2 甲州ワインの歴史

 04/06/2017 : 465 Views

 

日本が誇るブドウ品種といえば、「甲州」。日本固有のブドウ品種として、日本人にとって最も馴染みの深いブドウです。 しかし、以前の甲州は評価が低く、ワイン用ブドウとして失格の烙印を押されていました。今回は、高品質化していった甲州の歴史と甲州ワインの今を代表する一本を紹介します。

 

甲州ワインの弱点

甲州の歴史は古く、約1300年も前から日本で栽培されていたといわれています。江戸時代の頃の山梨県においては、甲州は年貢でもあり、将軍や世継ぎへ献上されるなど、名産品としても有名だったようです。 後の明治時代の初期頃、甲州はワイン用ブドウとして活躍し始めます。しかし、後の海外ワイン人気に押され、甲州ワインの人気は年々下落していきます。 当時、甲州の評価が極端に低くなってしまった原因は、海外のブドウに比べ糖度が上昇しにくく、仕上がりが水っぽくなってしまうことだったのです。

 

水っぽいワイン

糖度が上がらないので、多くの生産者は甲州ワインの味を補正するための補糖を行うしかありませんでした。香りも無臭に近く、水のようなワインだったこともあり、海外の高品質なワインを知る人々からは、常に辛辣な評価を与えられ続けます。 「所詮、日本の固有品種では高品質なワインは造れない」。 こんな声が聞こえ始めてきたのです。

 

生産者の努力

1980年代後半、味気ない甲州ワインという汚名を晴らすため、山梨の生産者たちなど、各方面で甲州の高品質化を目指した取り組みが始まります。 糖度を上げるための栽培法、香りを引き出すためのシュール・リー製法、さらに外国のように垣根栽培にするなど、各生産者が一丸となり甲州のレベルを上げていきます。 そして2004年、大手メーカーを中心としたワイナリー、研究者たちにより甲州には「柑橘系」の香りがあることが発見されます。この香りを引き出す栽培法、醸造法などが応用され、甲州は、「旨味のあるワイン」へ成長を遂げたのです。

 

おすすめの一本

近年の甲州ワインは、以前とは比べ物にならないレベルへと到達しています。 そんな甲州ワインの中でも、世界のワインコンクール金賞を受賞するなど高い評価を獲得している中央葡萄酒株式会社の「グレイス グリド甲州」を紹介します。 グレープフルーツの香り、まろやかな口当たり、ほのかな苦みと酸味のある味わいに仕上げられています。 料理との相性を重視しており、刺身や白和え、胡麻豆腐など繊細な和食にもぴったり合います。甲州ワインの今を知るなら、この一本からスタートすると良いのではないでしょうか。

 

甲州ワインは面白い

甲州ワインは、繊細であるからこそ、さまざまなスタイルへと変化します。紹介した「グリド甲州」だけでなく、さまざまな甲州ワインを楽しんでみてください。 次回は、日本を代表する黒ブドウ品種、「マスカット・ベーリーA」を紹介しましょう。こちらも、日本の赤ワインを面白くする立役者として注目されています。ぜひ、ご期待ください。

 

写真 http://www.grace-wine.com

 

ナカゴミコウイチ
東京都在住。ワイン好きの裾野を広げるため、WEBサイトを中心にワインコラムを執筆しています。

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