HAWAII! OISHII! ハワイイ! オイシイイ! Vol.49

 04/15/2017 : 288 Views

一見お雑煮? 実は牡蠣しんじょうの、一椀で二度おいしい初釜の椀盛り。関牧師の濃茶のお点前。十字をきるように袱紗(ふくさ)をさばく。

 

お正月、ホノルルでいろんなお雑煮をいただいた。京都人の友は、ハワイカイの自宅でヒヨコ豆の味噌を仕込んでいて、それを白味噌に見たて、丸餅のお雑煮を食べさせてくれた。「味噌はふつう煮たてないものだけど、白味噌はすり鉢ですって、出汁でのばしたあと漉して、弱火で煮詰めてとろみを出すの」。ポタージュのようにクリーミーでなめらか! 岡山出身の友人は、ブリを湯引きして赤貝を添えたお雑煮をごちそうしてくれた。故郷では、生の赤貝だけど、ハワイでは赤貝の佃煮で代替するんだそう。魚介が紅白おめでたくて豪華!

 

初釜のお茶懐石で、 牡蠣しんじょう入りの丸餅椀!

私が通っているホノルルキリスト教会には、お茶人さんが多い。関真士牧師は濃茶や炭手前の亭主を務めるほどの嗜みだし、長男でまだ大学生の勇矢君は、袴姿で亭主を立派に補佐できる。教授はクリスチャンの大先輩、松本宗弘さん。マノアのご自宅に風雅な茶室があり、30年以上、表千家の茶道を教えている。その茶室で、新年最初のお茶事“初釜”が開かれた。 正式な茶会は、濃茶、薄茶をおいしくいただくために、懐石料理がふるまわれる。献立はすべて出張料理人の阿部修士さん。茶懐石のならわしに通じた、ハワイでは稀有な料理人だ。 献立の花形であるお椀をあけると、おめでたい水引のような金時人参とうす緑の一文字。香り立つゆず。淡雪を冠したような大根から透けて見えるのは丸餅。お上品なお雑煮椀!? 着物姿で隣に座っていた牧師夫人のれいさんが、一番出汁がきいたおすましを口に含み、「おいしい」と一言。一同うなずきあって和気あいあい。と、次なるれいさん、きれいに結い上げた髪をのけぞらし、「皆さま、お宝が隠されています!」。なんと、お餅の下には牡蠣しんじょうが忍ばせてあったのだ。 “しんじょう”とは、白身魚のすり身の蒸し物のこと。阿部料理人は、旬の牡蠣をしんじょうに寄せて椀だねとした。初釜にふさわしい品格! あちこちで歓声が上がった。

 

利休の茶道は、キリスト教から インスパイアされている。

去年の大河ドラマ「真田丸」を観ていた人はよくご存知だろうが、戦国武将にはキリシタンが多かった。織田信長の時代、キリスト教は驚異的な広がりをみせ、日本全国に百万人以上の信徒がいたという。信長は安土城を築くにあたり、屋上に黄金に輝く十字架を掲げた。千利休も同じ頃、わび茶の世界を考案。利休の妻や娘は信徒で、ミサに出ていた記録がある。 関牧師によれば、「茶道のさまざまな所作に、キリスト教の影響を感じます。たとえば茶室は小さな、にじり口から中に入ります。これは聖書の“狭き門から入れ”というみことばの影響を受けているといわれています。大名であろうと、神の前では謙虚であるという教えですね」(マタイ福音7:13) 道具を清める袱紗(ふくさ)さばきも、十字をきるような所作で行う。 「お茶をいただく前に、盆に入れたお菓子を皆で取り分ける作法があります。これはキリストの最後の晩餐にならって、パンとぶどう酒をいただく聖餐式をリスペクトして考案された作法だといわれています」 おもしろ〜い! もっと詳しく知りたい人は、ホノルルキリスト教会に遊びに来てください。

 

 

奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター


『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。


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