日本の夏の風物詩 - ”蛍” 生態の謎と蛍文化

 05/26/2018 : 404 Views

夏、河川や森で淡く光りながら飛ぶ蛍は、日本の夏の風物詩として古来から親しまれてきました。今年の夏は日本で蛍狩りをするという方もいらっしゃるのではないでしょうか。闇夜を優雅に飛ぶ蛍を見ていて、蛍はなぜ、どうやって光っているのか不思議に思ったことはないでしょうか?日本はもうすぐ蛍の季節です。今回の特集では、蛍に関するさまざまな謎にせまりつつ、日本の蛍文化や豆知識などをご紹介しましょう。

 

∋∋∋∋∋∋∋∋蛍ってどんな虫?∈∈∈∈∈∈∈∈∈

蛍は、生物学的にはコウチュウ目、カブトムシ亜目、コメツキムシ下目、ホタル科に属する昆虫です。主に熱帯から温帯の雨が多い地域に分布し、日本では北海道から沖縄まで広く分布しています。蛍には、幼虫の時に水中で過ごす「水棲蛍」と一生を陸の湿地で過ごす「陸棲蛍」、さらに夜に活動する「夜行性」と昼に活動する「昼行性」の蛍がいます。世界中に生息する蛍の種類は約2,000種で、日本国内には約50種類の蛍が生息しています。

 

∋∋∋∋∋∋∋∋蛍が光る理由∈∈∈∈∈∈∈∈∈

主に交尾の相手を探す時、周囲とコミュニケーションを取るために光ります。日本で見られる蛍の場合、メス、オスの両方が発光することが多く、繰り返される光の点滅は蛍の種類や生息する地域によって異なります。発光時、オスは活発に空を飛んで相手のメスを探し、メスは草の上にとまってオスを待ちます。蛍の発光は、オス同士がコミュニケーションをする手段にもなっています。昼行性のの蛍で光らない種類は、光の代わりに性フェロモンを媒体にしていると考えられています。

 

∋∋∋∋∋∋∋∋蛍が光る理由∈∈∈∈∈∈∈∈∈

蛍は、お尻に近い部分にある発光器を使って光っています。この発光器を作る発光細胞には、ルシフェリンという発光物質が多く含まれています。蛍の気管から入ってくる酸素と、蛍が持つ酵素のルシフェラーゼによって、ルシフェリンが酸化反応を起こします。この酸化反応で発生したエネルギーが変換されて光ります。発光細胞の外側は透明な反射細胞に覆われており、作り出された光は反射細胞を通して可視化されます。

 

ほぼ熱を出さない「冷光」

ロウソクの炎や電気をエネルギー源とする電球などは、光ると熱が出ます。これは、光と同時に、熱としてもエネルギーが発散されているためです。一方で、蛍の光はエネルギーの約98%が光に変換されているため、ほぼ熱を出しません。この光へのエネルギー変換効率の高い光は「冷光」と呼ばれています。

 

 

 

日本産の主な蛍

••••••••••••••••••オオオバボタル

本州、四国、九州の山地に生息しています。体長1.5センチ前後で、前胸に鮮やかで大きな赤い斑紋があります。幼虫は、森林などに転がっている腐食した木の中で育ちます。幼虫は主にミミズを餌とします。成虫は発光しないと言われていましたが、2002年、八王子市で羽化したばかりのオスの成虫が2日間にわたって発光するところが観察されました。

••••••••••••••••••オバボタル

 

北海道、本州、四国、九州に分布します。体長1センチ前後で、黒色で平たい身体を持ち、お尻が赤く、前胸にも2つの赤い斑点があります。オバボタルは昼行性で、ほぼ発光しません。幼虫は森林の土の中で育ち、小型のミミズを餌としています。本土産の陸生蛍の中では成虫の発生期が最も長く、関東周辺では5月末から9月末にかけて見ることができます。

••••••••••••••••••カタモンミナミボタル

 

本州、四国、九州の山地、丘陵部、平地の緑地などに生息しています。体長は約5ミリで、日本産の蛍の中で1番小さいもの1つです。色は黒く、上羽の上部両側に栗色の斑点があります。幼虫の体長は成虫よりも大きく6〜7ミリほどで、主に陸生の小型の貝類を餌としています。この蛍も発光しないと言われていましたが、2007年、北九州市で弱い光で発光するところが観察されました。

••••••••••••••••••ゲンジボタル

北海道、本州、四国、九州、奄美大島と広範囲に分布し、山地、丘陵部、平地の湿地や水溜まりなどに生息しています。中には、ゲンジボタルやヘイケボタルと共生している場所もあります。体長は7〜8ミリで、色は濃い紅色。上羽には黒い筋があります。1985年、神奈川県川崎市でスジグロボタルの幼虫が初めて観察されました。幼虫は湿地で過ごし、陸棲巻貝をなどを餌にします。幼虫と、羽化したばかりの成虫がわずかに発光します。

••••••••••••••••••ヒメボタル

本州・四国・九州・屋久島に分布し、高い山地から林、街中の草地まで、いろいろな場所に生息しています。陸棲で、体長は7ミリ前後。一般に、蛍はメスの方が大きいのですが、ヒメボタルはオスがメスより大きい身体を持っています。幼虫は林の中の地面に住み、マイマイやキセルガイなど陸棲貝類を餌とします。5〜6月に羽化し、強い光で発光します。メスは下羽がないため、飛ぶことができません。名古屋城のお堀に広がる草地に規模の大きなヒメボタルの生息地があることで有名です。

••••••••••••••••••ヘイケボタル

北海道、本州、四国、九州、千島列島、ロシアのシベリア地方、朝鮮半島、中国の東北部などの広範囲に分布し、主に湿地や水田などに生息しています。体長は5〜7ミリで、両肩に赤い斑点があります。幼虫は、カワニナ、モノアラガイ、タニシなどの水棲巻貝を餌としています。発光する成虫は5月から9月にかけて見ることができます。

••••••••••••••••••マドボタル

マドボタル属の蛍の総称で、多くの種類があります。東日本には中型のクロマドボタル、西日本、四国、九州には中型のオオマドボタル、対馬には大型のアキマドボタル、南西諸島には何種類もの大型種が生息しています。マドボタルという名前は、黒いオスの胸に窓のような透明な部分があることに由来します。メスは羽が退化していて飛べず、薄い褐色でさなぎのような外見をしています。幼虫は、主に小型のカタツムリ類を餌にし、夜は活発に光りながら草や低木に登ります。

••••••••••••••••••ムネクリイロボタル

本州、四国、九州の山地から丘陵部、街中の緑地や公園など、さまざまな場所に生息しています。体長は6~8ミリで、全体的に黒色で、頭は赤く前胸は栗色。成虫はわずかに発光します。幼虫の大きさは8ミリ前後。地中の浅いところや落ち葉の隙間などで過ごし、陸棲巻貝やミミズなどを餌にしています。

 

 

参考:wikipedia

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