お月見と月の雑学

 10/02/2017 : 324 Views

@PIXTA

 

 

日本の秋というと、紅葉狩りや栗拾い、秋の鈴虫の音色などと並んで「お月見」が思い浮かびます。ハワイでは特に月が美しく見えるため、毎晩月が昇るのを楽しみにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の特集では、日本の伝統的な風習、お月見の起源や歴史、意味などと共に、月の名前や説話などの雑学をご紹介したいと思います。

 

お月見の起源と歴史

●起源は唐代の中国  

中国では、唐の時代(618〜907年)からお月見の風習がありましたが、最古の記録は宋の時代(960〜1279年)に孟元老が記した回想録『東京夢華録(とうけいむかろく)』の中の、街中の人々が宴会を開き、夜通しお祭り騒ぎをしている様子が書かれた一節です。明の時代(1368〜1644年)には、お供え物をしたり月餅を贈り合うという習慣がありました。

 

●平安時代  

日本では、縄文時代から月を見て美しさを讃える習慣があったといわれていますが、風習としてのお月見は、平安時代(794〜1192年)前期、中国から貴族社会に伝わったと考えられています。国風文化が盛んになり始めた909年、宇多天皇が唄を詠み管弦を楽しむ日本風の月見の酒宴を催したという記録が残っています。

 

●室町時代  

室町時代(1336〜1573年)には月を拝んでお供え物をする習慣が始まりました。天皇の御所に仕える女官たちが交替で記した日記『御湯殿上日記(おゆどののうえにっき)』には、後陽成天皇(在位1568〜1611)がナスに開けた穴から月を覗いてお祈りをする「名月の祝い」という儀式を行なったと記されています。

 

●江戸時代  

月見の風習は、時代が下るにつれて庶民の間にも広まり、徐々に秋の収穫祭の意味を成すようになりました。江戸時代(1603〜1868年)前期の人々は、収穫した芋で芋煮を楽しみ、夜通し遊んで十五夜を祝っていました。江戸時代中期には、今日のように月にお供えをする習慣が始まりました。商人の喜田川守貞が1837〜67年に渡って編纂した風俗辞典『守貞漫稿(もりさだまんこう)』には、十五夜の日は、月の見えるところに文机(読み書きをするための和風の机)を置いて祭壇を作り、江戸では丸い月見だんご、大阪や京都ではサトイモに見立てた楕円形の月見だんごを供えたと記されています。

『佳人遊園之月見』楊斎延一画 1891年

 

お月見の種類

●十五夜(中秋の名月)  

旧暦8月15日に行われる月見で、今年2017年は10月4日になります。秋の農作物、特に芋類の収穫を感謝する催しとして行われるため「芋名月」とも呼ばれ、サトイモなどが供えられます。またブドウやカボチャなど、つるのある収穫物を供えると、月の神様とつながるので縁起がよいとされています。この日、雲で月が隠れて見えないことを「無月(むげつ)」といい、雨が降ることを「雨月(うげつ)」といいます。昔の人は、月が雲の裏でほの明るく輝く状態も風流なことと捉えたようです。

芋名月に供えられたサトイモと月見だんご(http://photozou.jp/photo/show/1941325/153504402)

 

●十三夜  

十五夜の約1カ月後、旧暦9月13日に行われ、月は十五夜に次ぐ美しさといわれています。収穫された豆や栗を供えることから「豆名月」「栗名月」とも呼ばれます。十五夜と十三夜のうち、天気によってどちらか一方の月だけが出た場合は「片月見」といって、あまり縁起がよくないこととされていました。

 

●十日夜(とおかんや)  

十三夜の約1カ月後、旧暦10月10日に東日本で行われる収穫祭です。この日は、稲刈りが終わった田んぼの神様が山へ帰る日とされており、米の収穫を祝って餅をつきます。また「わら鉄砲」と呼ばれる稲の茎を束ねて先を輪にしたもので地面を叩いて回り、お唱えをしながら神様に感謝をし、作物を荒らすモグラを追い払う地方もあります。また、田んぼの神様である案山子にお供え物をして月見を楽しんでもらう「かかし上げ」という行事を行う地方もあります。

十日夜のわら鉄砲 (四季彩diary http://tititake.sblo.jp/article/168933990.html)

 

十五夜のお供え物

●幸福を招く月見だんご  

お月見では、サトイモや月に見立てた丸いだんごを作り、供えた後で食べると幸福と健康が得られるとされています。十五夜では15の数字に因み、1寸5分(4.5cm)の大きさに作った月見だんごを15個供えます。1年の満月の数と同じ12個(うるう年は13個)、15を3で割った5個を供えることもあります。

 

●月の神様が宿る依代(よりしろ)、ススキ  

初期の月見では神様の依代として稲穂を供えていましたが、十五夜は稲刈りの前になるため、稲穂の形に似ているススキが供えられるようになりました。刈ったススキの切り口はとても硬く鋭いために魔除けになると考えられており、庭先にススキを吊るす習慣のある地方もあります。また、尾花(ススキ)と共に女郎花、桔梗、撫子、藤袴、葛、萩を合わせ、秋の七草として供えることもあります。

 

●お供えものは食べてもらうと縁起がよい  

昔、月見のお供えものは、近所の子どもが盗んで食べてもよいとされていました。気づかないうちに月の神様が食べてくれたと考えられためです。また、月見だんごを食べると子宝を授かるので、結婚前の女性は食べない方がよいという言い伝えもあります。

 

国ごとに違う月の模様

薬草を挽くウサギ。18世紀の清皇帝の服の図柄 (https://ja.m.wikipedia.org)

 

月を見ると模様を描いている暗い部分がありますが、これは「月の海」と呼ばれる低地の部分です。月の模様といえば、日本では「餅をつくウサギ」ですが、他の国や地域では、ライオンや人の顔、カエルなどさまざまな解釈がされています。次の満月の日には、月を観察しながらウサギの餅つき以外の模様を探してみてはいかがでしょうか。

 

【中国】薬草を挽くウサギ、桂の木とウサギ、天女、ヒキガエルの頭と前足

【インドネシア】編み物をする女性

【ベトナム】大木の下で休む男性

【カンボジア】菩提樹の木の下に座る杖を持ったおじいさん

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